木管大戦争⑭
土曜に引き続き、日曜もみんなで集まって練習した。
楽しみながら練習しているせいか、里沙ちゃんの上達の速さは目をみはるばかりで、さすがに中学時代にソフトボール部のエースとして強豪校からスカウトされるだけのことはある。
田舎のお爺ちゃんからオーボエをやりはじめた頃“一芸に秀でる者は多芸に通ず”という言葉を教えてもらった。このときにお爺ちゃんが言ってくれたのは、楽器は色々な種類があるけれど、その中のひとつを自分のモノにしなさいと言う事。
色々と心移りがしたのでは、どれも上達しなくて、ひとつの物を極めれば後の物も自然に覚えられると言っていた。
私は未だオーボエしか演奏できない。
いや、そのオーボエすら満足に演奏できていないから、凄いスピードでサックスを自分のモノにしていく里沙ちゃんの事を羨ましく思った。
屹度、瑞希先輩は里沙ちゃんの素質を見こしてメンバーに入れるための練習をしているのに違いない。
と、言うことは残る楽器担当はオーボエのみ、担当は一体誰なのだろう?
部外者として、好奇心がムクムクと夏の入道雲のように湧いてくるけど、やっぱり部外者だから野次馬根性を出すと嫌われちゃうだろうな。まあ、それまで代役として頑張るしかないか。
火曜日に里沙ちゃんから電話が来て、戦争のメンバーに選ばれたことと、ソロの時は鶴岡部長がピアノの伴奏を入れてくれること、そしてオーボエの担当が二年生の田代先輩に決まった事を伝えてくれた。
里沙ちゃんは、一緒に河原で練習していたから私が選ばれるものだと思っていたのに残念だと言ってくれて有難かった。
本音を言うと私も一緒に練習しているときに、このままズット皆と一緒に演奏したいと思っていたので、オーボエの担当者が決まったことを知らされたとき正直寂しい気持ちになってしまった。
まあ、部外者なので仕方がないけれど……。
それでも、そのことが心に引っ掛かっていて、部屋の明かりを消してベッドに入っても天井を見つめたまま寝られずにいた。
その様子に気が付いたのか、ベッドの脇で寝ていたロンが私の枕元まで顔を持ってきて私を見てくれていて、そのキラキラした大きな瞳に癒されて漸く心が落ち着いて眠りにつくことができた。





