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木管大戦争⑫

 ロンとマリーは、会うなりリードが絡みつくくらい激しくじゃれ合うので、この状況をはじめて見る増岡先輩と小林君の二人が、大丈夫なの?と心配してくれるのも頷ける。

 よその人から見れば、喧嘩しているように見えるくらい、ふたりのじゃれ合いは激しい。

 じゃれ合い……!?

 いや。

 これは“愛”だ!

 そう気が付くと、ロンとマリーの素直で激しい愛情表現が、映画やドラマに出てくるヒーローとヒロインに見えて憧れ色の眼差しで見つめてしまう。

 勘の良いロンのことだから、今日河原でマリーに合うことも瑞希先輩が来ることも屹度分かっていたに違いない。だから、ここに来るまで道草ばかりして、モジモジしていたに違いなく、なんとなく男の子っぽいロンが可愛い。

マリーとは、前に里沙ちゃんが連れて来た時に合ったけれど、さすがにマリーも仲が良いとは言え遠慮して余所行きで大人しくしていたけれど、今日はお母さん役の瑞希先輩が居るので自由奔放で喜びを爆発させている。

練習するためにこの河原に集まったと言うのに、私たち五人はお互いの愛情を確かめ合うようにじゃれているロンとマリーをズット取り囲んで微笑みながら見ていて、その雰囲気が私の心の中に自然に溶け込み、今日あったばかりの二人の男子を含めて何故か物心ついた時から一緒にいる“従兄”たちと一緒に居るような親しみの深い安心感があった。

漸くロンとマリーも落ち着いてきた頃を見計らって、瑞希先輩が

「そろそろ練習始めましょうか」

と言い、みんなが楽器を持ち演奏の準備に取り掛かる。

その間に瑞希先輩と私は、それぞれにマリーとロンのリードを傍にあった太い木の幹に縛った。

 そのとき瑞希先輩が、まるで独り言のように「第一関門突破ね!」と口ずさんだ。


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