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木管大戦争③

 引き続きロンとマリーを連れて散歩を楽しんだ。

 いつものように、ふたりは寄り添うように散歩しているけれどロンもマリーも時折私のほうに顔を向けて微笑むような顔を見せる。

 まるで瑞希先輩のメッセージを受け取った私が誤解していない事を喜ぶような……いいえ、まるで私が返信として書いたメッセージの内容を知っているかのように安心している。

 君たちは不思議だ。

 マリーは大好きな瑞希先輩の指名を受けて、ひとりで堂々とやって来た。おそらく女の子だし、たいそう瑞希先輩に可愛がられているし、スピッツと言う犬種だから、飼い主から離れてひとりで来るのは心細かったに違いないのに。

 ロンはマリーが託された首輪の裏側に張り付けられたメッセージを上手に私に教えてくれた。

 ……でも、ロンは何故メッセージに気が付いたのだろう。

 いくら手紙に瑞希先輩の匂いが付いているとはいえ、マリーにもマリーの首輪にも同じ匂いは着いているのに。

 ひょっとしたら、どう伝えていいのか困っているマリーがロンに相談したのではないだろうか?

人間の基本的なコミュニケーションは会話だ。

私たち人間は、言葉を話し会話する能力を身に着けて文化を築き、やがてそれを文字に置き換え、印や音楽、絵、現代では電信技術を駆使してより高度な情報手段を用いて発展してきた。

人間がそうして進歩してきたように、犬たちも同じように進歩してきている。

今から一万五千年以上前にオオカミの群れから離れた犬たちは、人間と生活するようになり、最初は外敵に吠えるだけだったのが可愛がられたり人を癒す愛玩犬になったり、人間と役割を分担して働く牧羊犬や狩猟犬になったり、近年では警察犬、救助犬、盲導犬など、より高度な技術を身に着けるようになった。

言葉を持たない彼等は、私達とは全く違う情報伝達能力を身に着けているのだろう。

特にロンを見ていると、そう思う。

おそらく美樹さんは、それを調べることも含めて、海外に居る有名な先生の教えを乞うために旅立ったのだろう。

ロンたちから顔を話して、横に並んで歩いている茂山さんの顔を見上げたとき「ロンを見ていると美樹が海外に行った理由がよく分かる気がする」と口ずさみ、私と同じことを考えていた。


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