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木管大戦争①

 山下先輩は、有名なクラリネットコンクールで13歳以下のジュニア部門に出場し、当時小学五年生ながら優勝した経歴があるらしい。

 しかし、中学では全国大会出場はおろか県大会にすら駒を進められなくて、高校進学時には吹奏楽部強豪校からの勧誘もなく地元で頑張っている系に過ぎない、この青葉台に進学したと言う話。

「山下先輩って地元なんだ」

 なんか冷たい感じの美人だったので、私は横浜とかの街から来ているのかと思っていた。

「鶴岡部長の家の近くらしいよ。しかも親が開業医で、一人っ娘」

「えっ。じゃあ小学・中学も鶴岡部長と同じなの?」

「そうみたい」

 里沙ちゃんの話に驚いた。

 疑っている訳ではないけれど里沙ちゃんの話が本当なら、全国規模の音楽コンクールで受賞経験のある演者が二人も居ながら鶴岡部長の中学は一度も県大会に駒を進められなかった事になる。

『一体何故……?』

 何故小・中・高と、共に吹奏楽部に携わっていながら鶴岡部長は山下先輩の木管グループを放置しているのか?何故山下先輩は自分たちのAグループだけを特別としているのか?

 そして瑞希先輩の復帰が、山下先輩たちと何か深い関係があるのではないだろうかと考えていた。

「ないよ!」

 不意に里沙ちゃんから声を投げられて顔を上げると。

「瑞希先輩は、山下先輩達Aグループと対立しようなんて考えていないと思うよ。だって“放っておかれるのなら、好きに遊びましょう”って言うスタンスだもの」

「放っておかれるなら、好きに遊びましょう……」

 私は里沙ちゃんの言葉を復唱していた。

 里沙ちゃんは知らないのだ。その放って遊びに行っている間に自分が上達している事に。

 諦め半分に吹奏楽部の話をする里沙ちゃんとは反対に、何か酷い事が起きそうな、そんな不安が心に突き刺さった。


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