表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/820

Uターン⑪

 自転車にまたがって帰って行く後姿をロンと一緒にいつまでも追っていた。

 次の日のお昼休み、二年生の教室に瑞希先輩を訪ねると中庭の木陰で話しましょうと言われ、人通りの少ない中庭の端にある木の傍に連れられて腰掛けた。

私は、鶴岡部長に瑞希先輩を推薦したところ、その復帰を喜んでくれたことと、私が退部届を出して来たことを伝えた。

瑞希先輩は最初寂しそうに遠くを見つめて聞いていたけれど、話し終わると私の肩を抱いてくれ「私、頑張るから」と言い、それから、自分勝手で都合のいい話だとは分かっているつもりだけどと前置きして、今後も河原で一緒に練習したり、一緒に茂山さんのお店で話をさせてもらっていたいとお願いされた。

私自身、江角君から言われた通りこれからもオーボエの練習をするつもりでいたし瑞希先輩の事を嫌いになったわけでもないので「お願いします」と静かに答える。色々な思いが未だ整理しきれていなくて元気に明るく答えることはできなかった。

瑞希先輩との話が終わり教室に戻ると、直ぐに里沙ちゃんが飛んで来て何を話していたのか聞いてきたので、話した内容を隠さずにそのまま話した。里沙ちゃんはカンカンに怒って「意見してくる」と教室を出ようとしたので、その手をぎゅっと握りしめて止めた。

「千春。お人好しもいい加減にして!」

 振り向いた里沙ちゃんは怒っていた。でも、私の事を思ってくれるのなら怒らないで瑞希先輩とも仲良くして欲しいとお願いすると、もう一度「千春のお人好し!」と、今度は呆れたように笑ってから言った

「いいよ。千春がそうしたいのなら」

 私は握りしめていた里沙ちゃんの手を額に寄せて何度もありがとうと言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ