表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/820

ただいま募集中⑧

 私が元気を取り戻すと、ロンはまた兄たちと散歩に行った。

 練習を再開して演奏しながら、どうしてあの時マリーも瑞希先輩のところに寄り添っていたのか考えていた。

 そして私の答えはいくら考えても、ひとつにしか辿り着かない。

 それを否定しようとしても……。

 考えながら兄と茂山さんを見ていた。

 二人は河原に腰掛けて何か話をしているようだ。兄がこつんと茂山さんの頭を叩くのが見え、茂山さんは項垂れている。

 何を話しているのか何故か気になった。

「集中力散漫!」

曲が終わって里沙ちゃんにデコピンされた。

「えっ?なんで?」

確かにボーっとしてはいたものの、きちんと旋律はおえていたはず。

「千春の特徴は、音に感情を込めて演奏することだから直ぐに分かるわよ」

と、瑞希先輩にも言われてしまい自分の特徴を知った。

 でも、それなら瑞希先輩も同じだよね。

 先輩の奏でる音は、私以上に感情に溢れている。

丁度、曲を終えて雑談をしているときに土手の向こうから自転車に乗ってこっちに向かってくる中高生くらいの二人の男子が目に入った。

 そのうち前を走っている男子が、どこかにいる仲間に合図を送っているように大きく手を振っている。

 私たちの他にこの辺りに居る人は……。

 辺りを見渡してみるが、私たちの他にはサイクリングやジョギングで通り過ぎる人だけしか居なくて、その中に男子の手の振りに答えて手を振り返す人は居なかった。

 ひょっとして私たちに手を振っているのだろうか?

 と思っていると、私の視線に気が付いた里沙ちゃんもそっちを向いて、それから大きく手を振った。

「知り合い!?」

「もー千春はー。伊藤君と江角君だよ」

えっ!?

 なんで伊藤君が?

 それに江角君は今日、用事があると言っていたのに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ