ただいま募集中④
日曜日に久しぶりに河川敷で練習しようと里沙ちゃんと瑞希先輩を誘ってみた。
ふたりとも快くOKをくれ、あとは私達が練習しているときにロンとマリーを見てくれる人を探さないと……最低でも一人、可能なら二人は欲しい。
江角君も考えたけど、彼は絶対練習中に犬の世話なんて出来っこないので諦めて、練習だけ誘ったら何か用事があるらしく断られた。
困っていたところに里沙ちゃんが茂山さんに頼んでみようか?と言ってきた。
でも大学院で研究とかあるし、よくお店の手伝いをしているから迷惑じゃないかしらと私が躊躇っていると
「あの人のしていることは大体暇つぶしだから大丈夫よ!」
太鼓判を押したので、まあ、それは里沙ちゃんに頼んでもらうことにした。
茂山さんが来るのなら兄にも頼んでみよう。
久しぶりに会えるのを屹度喜んでくれる。
そして日曜日の朝、兄の車に乗って河川敷へ向かうとあっと言う間に着いた。
高校入学前だから、もう三週間振り。
新しい環境に入ったためか、この三週間に合ったことが多すぎて、ここへ来たのが遠い昔のように思えてしまう。
直ぐに瑞希先輩もお家の車で送ってもらって来て、さっそくロンとマリーはデートを楽しむため兄に連れられてお散歩に出て行く。
その後姿を見ながら、ホンノ少しだけヤイている自分に気が付いてしまう。
「なんだか、少しだけ彼氏を取られたような気持になるわね!」
瑞希先輩が私の顔を覗きこんでそう言った。
「そ・そんな」
私は恥ずかしくて俯くと、瑞希先輩も「仲の好い妹を取られたような気持ちよ」って笑って言った。
ふたりして急にしんみりして、私たちが将来結婚して家を離れるときの両親の気持ちってこんな気持ちなんだろうなって話をした。
暫くして茂山さんの車が到着して、里沙ちゃんもサックスを持って降りて来た。
「さあ!練習開始!」





