ただいま募集中③
いつまでも遊び続けるロンとマリーを二人で見ていた。
『この二人、相性がいいなぁ』って思っていた。
人間だったら直ぐに結婚しちゃうんだろうなって。
そしたら隣で一緒に見ていた瑞希先輩も
「ロンとマリーってホント相性いいね」
って言ってくれて、嬉しかった。
他の犬と余り遊ばせる機会がないけど、瑞希先輩に言う通り二人は仲がいいと思う。
人間は好きな時に好きな所へ行き、好きな相手と遊べるけれど、犬はその全てが飼い主次第だなと考えていたところ、瑞希先輩が「そうね……」と言った。
「えっ?」と聞き返すと
「ペットとして飼われている犬の行動範囲なんて飼い主次第ですもの、私達もっとロンとマリーのために遊ぶ必要があると思わない?」
そう言って私の顔を覗き込んで笑顔を見せた。
思ってもいなかった、そして願っていた瑞希先輩からのお誘いが嬉しくて直ぐに「はい!」と返事をすると「では!」と言って瑞希先輩は立ち上がって私の手を引いた。
『お母さんに挨拶するのかな……』って私が思っている通り、瑞希先輩は私のお母さんのところに私を連れて歩いて行く。その後ろをマリーとロンもついてきた。
お母さんも気が付いて立ち上がると、瑞希先輩が明るく元気のいい声で
「二年の百瀬瑞希です。宜しくお願いします」
と挨拶した。
帰りの車の中で、お母さんが瑞希先輩のことを話していた。
なんとなく千春と里沙ちゃんを足したような感じの好い子だと。
そしてマリーのことも褒めていた。
瑞希先輩が褒められると、まるで自分が褒められた以上に嬉しくなり、体がカアーっと熱くなるのが分かった。





