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いとぐち⑨

「えっ……」

 戸惑う私に鶴岡部長はニッコリ笑って、ここに来た理由も当ててみようかと言ってきた。

 ここに来た理由と言っても、ロンがリードを離れてここに来たのを、ただ追いかけて来ただけだから特に理由などないと思っていたら

「僕が楽器を演奏しない理由?」と言われ驚いた。

 確かに、ここに来たのは偶然だけど鶴岡部長に聞きたいことは、その通りだけど、そんなこと聞いてもいいのだろうかと悩んでいると

「教えてあげるけど、その代り僕の悩み事も一つ聞いてくれる?」

 聞くだけなら容易い事だけど、悩み事を聞いて私にいったい何ができるのだろうか?

 と考えていたら、鮎沢さんなら屹度僕の悩み事を聞いて力になってくれるからと言われ

「私にはそんな力はないと思います」と返してしまった。

「大丈夫だと思うけど」

 鶴岡部長は少し不思議そうな顔をした。

「なんで、そう思うのですか?」

「ロンを見ていれば分かる」

「ロンを……?」

 言われてロンを見ると、ロンも私を見ていた。

「ほらね。犬は集団生活を好む動物だから誰を頼ればいいのか、自分がどうしたら役に立つのかと言う事を考えているのさ。だからロンはここに来た。そして、そんな素直な犬に育てたのは鮎沢さんなんだよ」

 なんか褒められて恥ずかしい。

「じゃあ言うけど、噂は知っているよね」

「はい。二年生からトランペットをやめたのは、やりたい曲があるからって聞いたのですが……」

 鶴岡部長は少し困った顔をして話してくれた。


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