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いとぐち⑥

 夜。

 ロンと散歩をしていて、いつもの公園のベンチに腰掛けて星を見上げて考えていた。

 鶴岡部長の心の曲のことを。

 自分の演奏活動を犠牲にしてまでコンクールで演奏したい曲って何だろう。

 見上げていた目を落すと、いつものようにロンが私を見上げていたので聞いてみた。

「鶴岡部長の心の曲って何なのかな?」って。

 ロンは真直ぐに私を見つめたまま首を少し傾けた。

「ゴメン。ロンには分かんないよね」

 首を傾けたままのロンの頭を撫でると、いつものようにロンは嬉しそうに私を見上げて笑っているような顔をしていた。

 部活の最中に鶴岡部長に聞くのが最も早いことは分かっているが、精力的に動く部長と忙しい練習のため、聞く暇もなくあっと言う間に最終下校時刻を告げるチャイムが鳴ってしまう。

 今日も部長に聞くことができなかった。

 まあ、里沙ちゃんが聞けないのだから私なんかが部長に聞けるはずもない。

 そうやって一週間が過ぎてしまい、今日はロンの検診の日。

 鶴岡部長のご両親のスワン動物病院に行くのだけれど、ここで鶴岡部長を見かけたのは急患で駆け付けたときの他は二~三回有るか無いかだから、診察中に会える確率は奇跡に等しい。

 だからといって、自分から鶴岡部長の部屋に遊びに行く勇気なんて到底ないし、本当にロンの検診のためだけに行く形になるのだろう。

 お母さんの運転する車の中でそんなことを考えていると、自分が情けなく思えてしまい気分が落ち込んでいた。

 いつのまにか私の膝に頭を乗せていたロンの目が私を見上げていた。


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