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高校デビュー⑦

 土曜日に里沙ちゃんと河川敷で練習した後、そのまま茂山さんのお店に行った。

 もちろんロンも一緒だ。

 河川敷の土手伝いに三〇分ほど歩く快適なお散歩コースを辿ると、日中にも拘わらず多くの犬たちと出会った。

 中には愛らしい女の子たちもいたし、その子たちの中で気にして近づいてきてくれる子もいたのにロンは相変わらず犬には興味がなさそう。

 人間の女子には興味があって寄っていこうとするくせに、犬の女子には見向きもしないばかりか、向こうが近づいてくるとワザと逃げるようにコースを変えようとしたりさえする。

 これじゃあお嫁さんも、彼女も当分見つかりそうにないな。

 呆れ顔で見つめていると、ロンが私の視線に気が付いたのか顔を上げて歩を止めた。

 満面の笑顔で私をジッと見つめたあと軽く私の膝に飛びついたあと反転してまた歩き出した。

「そうね。あなたの彼女は私だったよね……」

 ロンに彼女が見つかるまで、私が彼女になってあげる約束をしていたことを思い出す。

 ロンは里沙ちゃんや人間の女の子が大好きで、いつも私にヤキモチを焼かせるけれど決して私を裏切らない。

 大切な時は私の傍から離れない。

 ロンは私の事が大好きで、私もロンの事が大好き。

 ひょっとしたら犬の女の子と恋に落ちることを浮気と考えてワザと避けているのかなと思ってしまう。

「つまんないな!」

 えっ?急に里沙ちゃんに声を掛けられた。

「ロンと一緒だと楽しさ倍増だけど、千春がロンのことを考え出すと自分の世界に入り込んでしまうところ」

「えっ!私いま、そんなんだった?」

「そうよ!今じゃなくて、この土手を散歩しだしてズーっとロンばかり見つめて歩いていて、一言でも私に声をかけましたか?」

「そういえば……。里沙ゴメン」

「いいよ。おおかたロンのお嫁さんの事でも考えていたんでしょうけど、あまり過保護は逆効果よ」

 里沙ちゃんに肩をポンと叩かれると、魔法が解けたようにロンの異性関係の悩み事は脳の奥に消えて行き、それからは里沙ちゃんと部活や新しいクラスの話などをして、いつの間にか茂山さんのお店に着いた。


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