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高校デビュー⑥

 次の日は学校にオーボエを持って行った。

 部活は来週からなので演奏に参加させてもらうつもりはなく、学校の帰りに楽器店によって久しぶりにクリーニングをしてもらおうと思って持ってきた。

 朝の電車に乗る時に直ぐ江角君が気が付いて

「それ、どうするつもりだ」

 と聞いてきたので学校の帰りに楽器店でクリーニングしてもらうと言うと、珍しくニヤッと笑った気がしていつまでも気になった。

 放課後、里沙ちゃんと街の楽器店に行きオーボエをクリーニングしてもらい、ついでにリードも新調した。

 里沙ちゃんも持ってくればよかったのにと言うと、私はまだメンテナンスより練習だと笑っていた。

 楽器店の帰りに二人で茂山さんのお店に行き、ドッグランのコースにあるベランダでジュースを飲みながら宿題をしていると、いつの間にか足元にキャバリアが来て懐いてきた。

「よしよし」と撫でてあげると尻尾を振って喜んでくれた。

 直ぐに飼い主さんが来て「すみません」と言って連れて行ったけど、別に犬好きの集まる店なんだから謝らなくてもいいのに。

 犬が返ってしまってから家で留守をしているロンのことを思い出し、ロンを連れて来ていない寂しさが私の心を少し詰まらなくさせた。

 途中から茂山さんもテーブルに遊びに来て楽しい話をして場を盛り上げてくれたけど、私は里沙ちゃんほど楽しめなくてズッとロンの顔が頭から離れなかった。

 家に帰ると、いつものようにロンが玄関でお出迎えをしてくれていて、私はそのロンに抱きついた。

 最初チョット驚いていたロンも、直ぐに喜んで私の顔をペロペロ舐めだしてそのまま体重を掛けられ、玄関に押し倒された。

 いつものようにロンは倒れた私の上に馬乗りになり、私は身動きできずにただ顔を舐められ続ける。

 私の上で我武者羅に顔を舐めているロンをジッと見つめていた。

 これから部活動が始まると今よりもっと早い時間に家を出て、中学時代よりも遅い時間に家に戻る。

 そして学校での勉強も難しくなるので当然勉強時間も増えるだろう

 。だから、こうしてロンと遊べる時間も少なくなる。

 そんなことを考えながらロンを見ていたら、いつの間にかロンも私の目をジッと見つめて、舐めるのを中断していた。

 私がロンの首に手を巻き付けて抱き寄せると、おとなしくそれに従って私の頬に顔を寄せてきた。

 暫くお互い身を寄せていると、台所からお母さんが来て

「まあまあ、お熱い事!そういうことはベッドでして頂戴ね!」

 と言って呆れて帰って行った。


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