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新しい朝①

 卒業して初めての平日。

 朝七時に目が覚めてから、なにか風船の糸がプッツリ切れて空を漂っているような、フラフラとした芯のない感じの目覚め。

“ガチャン”という音がして、窓越しに空を見上げていた目を道に向けると、制服を着た高校生が自転車のスタンドを上げた音だった。

 それを見て気が付く。制服に着替えない平日。学校が動いている日に登校しない妙な違和感。別にズル休みしている訳でもないのに、学校に行かないことに後ろめたささえ感じる。宿題だってない。

 病気でもない平日のお休み。宿題もない。

学校に行っていたときは、友達と口々に『こんな生活がしてみたい!』って楽しく話していたのに、いざ現実となると憂鬱に感じた。

 スーッと風が入って来たと思うと、部屋のドアが少し開いていた。ベッドの下を見ると案の定ロンがいた。

「また、入って来ていたのね」

 ロンの頭をナデナデしようと手を伸ばすと、伏せていたロンはすくっとお座りして姿勢を正した。ハアハアと息づかいも荒い。何かを期待している様子。

 ああ、そうか。ロンにしてみれば、土日でもないのに私が家にいるってことは嬉しい事なんだ。不意に卒業式の日に真直ぐに私だけを見て走って来た、あの一途な瞳を思い出す。

「まったく。ロンはズルイんだから!」チョンとオデコを突くと、ロンは不思議そうな顔をして首を傾けた。

 それまで“まったり”していたベッドから跳ねるように飛び出して、階段を降りながらお母さんにロンの朝食が済んだかどうか確かめると『まだ』だと返事が返って来た。もしもロンが朝食を食べたばかりだと散歩に行けない。

 犬は食後に走ったりすると胃ねん転や、腸ねん転を起こしやすい。

 もし、そうなってしまった場合でも人間のように調子が悪くなったことを伝えられない犬たちはジッと我慢してしまうので、命の危険がある。

 私は、まだロンが食事をしていないことを聞くと、お母さんにロンに朝食を上げないように言い急いで歯磨きをして、顔を洗う。

 タオルで顔を拭きあがると、洗面所に着いてきてズット私の横で待っていたロンに「行きますか!」と声を掛けた。「ワン!」と元気のいい声が返って来て。私は直ぐに着替えてロンの首輪にリードを付け、玄関を駆けだした。


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