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桜の季節に向けて①

 山の上のキャンプ場から帰って、残り少ない夏休みは里沙ちゃんと過ごすことが多かった。ロンを連れて茂山さんのカフェで一緒に宿題や勉強をして、一緒に花火を見て、散歩に行って。

 なんとなくこの夏休みが終わって、私の周りの空気が変わったような気がする。

 なにが、どう変わったなんて分からないけれど、一様に皆が大人びてしまった気がする。

 それは部活動のない放課後のせいだけではない。

 やはり、今年の夏がそうさせたのだと思った。

 九月の体育祭の頃には兄も帰って来た。

 朝早く夜も遅いので官舎のほうが良いに決まっているのに帰って来て、ロンを連れて見に来てくれた。

 ロンもおとなしく見ている。

 そういえば今年も美樹さんは帰ってこなかった。

 過ごしやすい秋は、あっと言う間に過ぎてしまい、季節はもう木枯らしの吹く十二月。

 もう直ぐ受験だ。

「ねぇ千春。ここ、どうだったっけ?」

「んっ?そこはwasを入れてbe動詞の過去形にして『だった』にするの」

 今日は、茂山さんのカフェで受験勉強。

 最近はここを図書館の自習室みたいに使うことが多い。

 里沙ちゃんは結局強豪校からのソフトボールでのスポーツ推薦を断って、受験を選んだ。

 もっぱら受験勉強は、私の家と里沙ちゃんの家、そしてここ茂山さんのカフェをローテーションして使っている。

 紅茶一杯で三時間くらい粘っているので気が引けるけど、茂山さんはいつもニコニコしていて柿を向いてくれたりミカンの差し入れをしてくれたり、難しい問題に悩んでいるときはアドバイスもしてくれたりして、チョット恐縮してしまう。

 ロンは私達の勉強中はズッとおとなしく私の足元でお昼寝して過ごすことが多いけど、たまに気に入った女の人に声を掛けられると私にことわってから遊びに行ってしまう。


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