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少女と犬の4747日間のはじまり
動物病院から兄が貰って来てくれた犬は車から降りて私たち家族に会うなり、その長い尻尾をパタパタと振り回して喜んでくれた。
あなたが喜んでくれて、私もとっても嬉しいわ。
私はその犬の頬を両手で支え、顔を正面にして挨拶をした。
挨拶が終わった途端、犬は私の顔をペロペロ舐めだす。
「可愛い!」
とホンの最初だけ犬に舐められて喜んでいた私だけど、そのうち舐め方は激しくなり息が苦しくなってきて、そのうえ犬は私の肩に前足を掛けて体重を預けて来る。
押された私がバランスを崩して仰向けに転ぶと、犬のくせに私の上に馬乗りになる。
足をバタバタさせている私に、お父さんもお母さんも兄も最初は笑っていたが、声も出せないでいる私に気付いて、犬を引きはがしてくれた。
あ~……窒息するかと思ったぁ~。