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第70話

 旅行部は、客観的に見て変なメンバーが多い。

 その中では、数少ないまとも寄りなメンバー。それが小森江先輩だ。

 しかしいつもの如く先輩の姿がない。

 ゆかり先輩が時間ギリギリに部室に滑り込んできたのだがまだ旅行は始まらない。

 そもそも小森江先輩が到着してから準備が始まるのでまだまだ旅行は始まりそうにない。


 それにして、時間を少だけだけど過ぎているというのに烏丸先輩が何も言わないのはどうしてなのだろうか? イメージ的には時間に厳しくしっかりしてると思うから「小森江君はまだかしら?」とか言い出しそうだなと勝手に思っていたのだ。

「ノブくん……あきれてしまいますわ。わたくしという人がいながらまた……」

「えっ? 何?」

 突然不穏な言葉を浴びせられ頭がパニックになる。

「城野……アンタってほんと」

「ノ、ノブくん不潔です!」

 どうしてみんな俺のことを哀れな目で見るのだろう。おふざけの空気が出ているのが2名。マジっぽい空気が2名。笑っているのがいつも通りの日田先輩。

 俺は面倒くさいのでもう関わらないことにする。

 俺が関わらないので沈黙が流れる。

「もうつまらないですわ。ノブくんがのってきませんわ」

 沈黙に耐えられなくなり不貞腐れる先輩。

「しかたないわよ。城野君は何もわかっていないのだから。言っても無駄よ。私のことをずっと見つめるのもきっと無意識なのだから」

「えっ? 何? 俺が烏丸先輩を見つめてた? どうゆうこと?」

「無意識に私のことを目で追っているのだからしかたがないわよ。きっと本能が私を求めているのよ」

 こういう時に以前なら隣に座っている美祢が騒いでくれるのだが全然ノってこない。今もじっと机を見てる? うつむいてる? 状況だ。体調が悪いのかな? これからオーロラ見るから体調が悪いんだったら。

「遅れましたー。ちょっと想定外のことが起こってしまって」

「あなたは想定外のことが起こらなくても遅れるでしょう」

「いつものことですわ。気にしたらいけませんわ。それよりも今日は楽しくやりましょう」

 桃花先輩の一声でみんなが準備に取り掛かり始めたのだが、

「城野何座ったままなの。アンタも早く準備するよ」

 ベガに言われた立ち上がった俺だけど、小森江先輩が言ってた想定外の事って何だろう。

 俺のほかにもう一名座りっぱなしの新人先輩が居た。旅行部の活動の流れがわからないから仕方がないだろう。やっぱり桃花先輩は何も伝えてないんだなと確信した。

 烏丸先輩ご愁傷様です。凍死しないように気を付けてくださいとしか。

 日田先輩が機材の何が居るのかを確認して部室を出る。あらかじめ伝えておけば小森江先輩が遅刻しても準備だけはできたのにと思っていまう。相変わらずマイペースというか。まぁそれだと小森江先輩が遅刻することが前提になってしまうのだけれど。


 あらかた部室の中のセッティングが終わりオーロラの旅を始められる状況になる。

「なるほど。これは思ってた以上に本格的ね」

「そ、そうですわよ。おほほほほ」

 桃花先輩は笑いをこらえきれていない。そう、旅行部の旅行はここから斜め上を行くのだ。だから俺とベガは夏に部室で凍死しかけたのだ。

「ちょっと城野! 機材がおかしくない? 夏にあったものすごく冷たい風が出るあの大きな機械がないんだけど?」

「え? そんなはず」

 俺とベガが小さな声で話し合う。俺とベガが凍死しかけた状況を作り出した謎の冷たい風を出す機械が確かにない。今は冬だからそこまで強力な機械じゃなくて冷えるとか?

「ほら、そこのふたりいちゃついてないで早く始めますわよ」

 桃花先輩の言葉とともに部室が暗くなる。

 俺とベガは防寒対策ばっちりの格好だがみんなの格好がおかしいのに今更ながら気が付いた。

「おい、なんでみんな半そでになってるんだよ」

「しらないわよ。っていうか部室暑くない?」

「オーロラって夏も見れるんだよ。知ってた?」

『えっ? 夏?」

 俺とベガの声が重なった。

「あななたちうるさいわよ。しかしこの映像と演出、かなり本格的ね……しかし、少し部屋の温度が高くないかしら?」

 そういった後に俺とベガの姿を見て、

「あななたち……どうしてそんな恰好をしているの? そんなに寒がりだったのかしら?」

 事情を知らない烏丸先輩が困惑の表情。無理もない。俺たちは部室が氷点下になると思っていたから完全防寒対策中だ。

「オーロラと言えば冬のイメージだよね。でもカナダなどでは夏に見られるんだよ。夏の方が快適にみられるからそっちにしたんだよ」

 夏のオーロラなんて聞いてない! そんな知識持ってないし予め言ってほしかった。

「どうして言ってくれないんですか。私もう暑くて暑くて」

「ヒメちゃん。暑ければ脱げばいいのよ」

「脱げないから困ってるんです!」

「じゃあ我慢するしかないわね。我慢するか、ノブくんの前で恥ずかしい格好になるかの二択ですわ」

「恥ずかしい格好!」

 無意識に声が出てしまった。

「城野くんのエッチ」

「ノブくんエッチですわ」

「ノブくん……エッチ」

 はいはい。予想してました。俺もそれどころじゃなくて暑いんだけど。

 旅行は凄く楽しかったのだけれど、今度は冬に部室で熱中症だよ。

読んでいただいた皆様ありがとうございます。眠い目をこすりながら喜んでおります。

1週間ぶりとなりました。

量が少ないですが、リハビリという事で。

皆様もサクッと読めたことでしょう。

この1年結構文章を読むようになり、色んな文章の書き方があるなーと思い感じていました。

テンポとか雰囲気をもっと表現できるようにしたいですね。

ではまた来週。。。

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