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第57話

 何気ない授業の間の休み時間。俺は美祢とクラスメイトに囲まれて会話をしていた。

 しかし今日の美祢は一味違うのだ。いつも通りお菓子を頬張りながらだったのだがいつも通りなのはそこだけで、それ以外がいつもと違ったのだ。

「城野くんもお菓子食べるー?」

 いつも通りの会話だ。この美祢はそんなに不思議ではない。いつも休み時間に何かしら食べているイメージの美祢が俺やクラスメイトにお菓子を配っている様子。これはいつも通りの風景。

 じゃあ何がいつもと違うのかというと……

「ねぇ城野くんってばー」

 美祢はそういいながら腕を組んできて俺の体を揺らす。最近はそうでもなかったこ事なのだが、入学当初のカップル設定を大盤振る舞いしてた時以上にべたべたしてくるのだ。

「城野くん城野くん。昨日は楽しかったね」

 ずっとニコニコしたまま過激なスキンシップをとってくる。そう、今日の美祢を表現するにぴったりな言葉を俺は知っている。


『うざい』


 昨日の炭酸パーティの話をもう3度以上話している。よっぽど楽しかった……ようなことはなかったはずだ。どちらかというと俺の脳には地獄絵図としてインプットされている。

「やっぱり彩耶乃と城野って仲いいよね」

「最近なんか普通っぽかったけど今日はね」

「ねー」

 美祢と一緒におしゃべりしていたクラスメイトがそれぞれ俺を茶化してくる。だが、この話を聞いて俺は再確認した。やっぱり最近の美祢はおとなしかったというか1学期の時ほどスキンシップをとっていなかったと。

 このくっついてくる感じが久しぶりだったからなのか余計に今日はべたべたしてくるように感じてしまっているのだろうか?

「ねぇねぇ、話聞いてる? 今度は何作ろうかー?」

 美祢の言葉にクラスメイトが反応する。

「何々? 作るってどういうこと? 何作るの?」

「なんかあんたたち二人ってやっぱり怪しいよねー関係が」

「城野は普通にしてるけどちゃっかり本当に付き合ってたりするんじゃないの?」

 3人が好き勝手に言ってるのだが最後のところはしっかり否定しないといけない。

「んなわけあるか!」

 しかしどういうことだ? 自分でそう否定した後に気が付いた。気が付いたというよりも引っかかった。気になったというべきか。

 ちゃっかり付き合ってるって発言が出るということは今は付き合ってないように見えてるってことなのか? そういうことだよな?

「あれ? もしかして」

「いやいや大丈夫。誰もあんたたち二人付き合ってるとか思ってないから。でも城野にそんなチャンス多分ないかもねー」

 クラスメイトの一人が笑いながら俺のことを否定してくる。あれ? 俺ってクラスでのポジションってこんな感じだったっけ? 普通にしてたと思ったけど……いや、普通じゃないな。すでに美祢と一緒にいるってだけで普通じゃない。自分で思ってて悲しいのだけれど現実はきちんと理解しないとな。

「城野くん! また浮気しようとしてるの? もうほんとに困っちゃう」

 美祢は謎の怒ってるようなポーズをとりながら浮気浮気と言い始めた。怒ってるというかイライラするようなポーズ。よく浮気浮気言ってるときに使うから怒ってるんだろうと俺の中では認識されているが全然怒ってるようには見えないのだ。

「ホントにあんたは一人でアツアツよね。城野のどこがいいんだか」

 この言葉にも俺は反応してしまった。確かに美祢はどうして俺に付きまとうようになったのか? 俺のどこかいいから設定カップルになったのだろうか? 今日はなんだかいろいろと気が付かされる。

「ほーら城野が気になってる気になってる」

 俺が話を聞くモードに入ってるのを素早く見抜かれたらしい。

 美祢の顔を見ると先ほどまでのニコニコした表情ではなく、ニヤニヤした表情と言った方が正しい表現かの顔に変わっていた。そんな美祢の嬉しそうな表情とは真逆の状態が俺だ。気になってることを見抜かれて悔しいのだ。

 美祢が俺のことをどう思ってるのか気になってるという状況が悔しい。正直言って気になってるのは気になってるのだが、それを美祢が知るっていうのが何か悔しいのだ。

 そしてニヤニヤしっぱなしの美祢はやっぱり腕を組んできた。前以上にスキンシップが激しい。かと思ったらクラスメイトとはしゃぎ始めた。文化祭の準備とかでテンションが上がってるからこんないつも以上に変な美祢になってしまったのか? と考えている。

 俺もまぁ文化祭に期待してワクワクしテンションが上がっているし美祢もそうなのかな?

 1年前、自分がこの学校を受けようと思ったきっかけになった文化祭。そしてその中で気になった旅行部の一員として文化祭に出るわけだし……まぁ旅行部は想像とは全然違ったのだけれど楽しいことには間違いないからな。

 そんな1年前の自分のことをぼーっと考えていたらまた美祢がくっついてきた。今度は後ろから抱き着かれた形。

 本当に今までこんなに過激な接触はなかった。いったいどうしたっていうんだ? 昨日の炭酸パーティーの副作用か?

 抱き着かれた俺は美祢の女の子特有の? 甘い匂いと体の柔らかい部分が接触して不覚にもドキッとしてしまった。もう心臓がバクバクしてるのが自分でもわかる。この心臓のドキドキが美祢にバレないかと考えるとまた心臓がバクバクする悪循環だ。

「ねぇ、もしかして城野って今モテ気きてるんじゃない?」


「えっ!?」

「えっ!!」


 俺と美祢が同時に反応した。俺は純粋に驚いた。言ったのは3人のクラスメイトの中では一番軽い感じのノリの子だ。さっきからちょいちょい毒を吐いているのだが、もうそんなことはどうでもいいくらい俺はマジで? っていう気持ちがそのまま言葉として出た『えっ!?』だったのだ。

 美祢はというとどうも俺とは違う反応っぽいように見える。なんというか戸惑っているように見えた。

「そうだよねー。城野君って茶山さんとも仲がいいしねー。ホントにそうなのかもねー」

 3人のクラスメイトの中でのんびりした感じの子が乗っかってきた。

 みんなノリが基本的に軽いので疑ってしまう。信じられないくらい軽い感じで乗ってくるのだ。

 のんびりした感じの子の言葉を聞いて美祢はもう一段階しょんぼりしてしまったように見えた。落ち込んでるのか?

「そうそう。ベガちゃんってノブくんにだけ接し方が違うもんねー」

 3人のうちの最後のクラスメイトも軽い感じで乗っかってきた。そういってこいつらは俺を惑わせる気なのか? っていうかベガって俺に対しての接し方違うのか? あまり気にならなかったのだが。

「そうなの?」

 その疑問に対して素直に聞いてしまった。全然わからない。気にしたことなかったといえばそうなのだが違ったら普通気が付くと思うんだけどな。

「そんなことないよー! 私も茶山さんと仲がいいもん!」

 美祢が対抗してきた。さっきまで小さくなってた美祢が普通に元気に戻った。

「そっちかよ!」

 何がそっちなのかわからないが美祢がクラスメイトに突っ込まれている。

 突っ込まれた美祢はクラスメイトの言葉に体をくねくねくねらせている。本当に今日は意味不明だ。

 とか考えていたら今度は俺の体も揺らし始めた。

「私も茶山さんと仲いいよねー」

 体を揺らし続けながら俺に問いかけてくる。

 俺が黙っているとその間ずっと無言で美祢はクネクネしながら俺の体も揺らし続ける。

「今日はやたら美祢ちゃん甘々よね」

「ホント甘えん坊モードね」

 クラスメイトの言葉に、なんだそのめんどくせぇモードはと心の中で思ってしまった。

 そして面倒くさい1日はまだまだ続くのであった。

読んでいただいてありがとうございます。

前回のお話からだいぶ間が開いてしまいました。そしてこんな深夜にこっそり更新です。

もっとコンスタントに書いていきたいですね本当に。

そしてもともとあったプロットからはだいぶ脱線してしまってますね。元に戻せるのか自分。

そんな感じでぼちぼちマイペースで。

ではまた次回。。。

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