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第50話

 秋も深まってきて周りが慌ただしく動き出しているのにもかかわらず旅行部は変わらず。それ以上にいつもの活動という名のお喋り以外の活動がないのが主な理由だ。

 そういえば旅行部の備品という名買ってしまった桃花先輩の私物達は今どうなっているのだろう? ちゃんと桃花先輩の家に保管されているのだろうか? そして桃花先輩が卒業した後にはどうなってしまうのだろうと疑問が浮かんで少し寂しくなった。それは桃花先輩の私物達と旅行部の存在だ。決してこの寂しさは先輩たちに対しての寂しさじゃないと思う。

 高校生活なんて3年間しかないのは最初から分かりきってるのだから寂しがってもしょうがないし、先輩たちの卒業もまだまだ先のことだ。

 一人でしんみりとしているのだが、今日は先輩たちも来ない上に文化部に所属しているクラスメイトは慌ただしくなってきているようだ。

 それ以上に旅行部の周りは動きが激しくなってきている。今日先輩たちが誰も来ないのも生徒会長選挙が迫っているのが主な理由。残念ながら旅行部に文化祭に向けた動きはない。桃花先輩の中でやりたいことは決まっているようだが。

 新聞部は生徒会長選挙を面白おかしく生徒会の反乱などといってゆかり先輩のことを取り上げて盛り上げている。確かに反乱といえば反乱なのだけど。

 そうして周りの反応はというとやっぱり旅行部の連中は面白いことをしてくれるという感じに受け取られている。ゆかり先輩は大真面目なのだがあくまで周りは面白がっているのだ。

 旅行部の近くといえば俺の一番近いところにいる美祢も最近あまり部活で見ることがなくなっている。やっぱりバイトが忙しいのかな?

 最近の部活はもっぱら俺と桃花先輩とベガの3人で喋ってるだけっていうのが多いのだが今日は桃花先輩も居ないのだ。日田先輩と一緒にゆかり先輩の手伝いをしているようだ。なんだかんだいいつつもやっぱり桃花先輩はゆかり先輩をサポートするようだ。

 そして小森江先輩はというと選挙の運営の手伝いをしているとのことだ。生徒会と生徒組合で選挙を運営するそうだ。

 美祢はバイトで桃花先輩と日田先輩がゆかり先輩のお手伝い。そして小森江先輩は選挙の運営で欠席ということで今日の部活はベガと二人きりだ。

 ベガは俺のクラスの連中と談笑したあと俺のところにやって来た。ということで部活開始。別に開始と言って何をするわけでもない。

 律儀に1年2組に集まり活動する。

 活動するといってもただ喋るだけ。まぁ時期が時期なだけに会話の内容はやっぱり選挙のこと。

 俺はやっぱり気になるゆかり先輩の行方をベガにずっと話してたようで、

「あんたって本当にゆかり先輩のことばっかりよね?」

 やや強い口調で呆れていて今にも溜息をつきそうでもある。

「そうか?」

 ベガが何でそんなに呆れているのかは俺にはよくわからない。今ゆかり先輩の事が気になるのは普通じゃないのかな?

 そうするとクラスメイトが間に入ってきた。話が聞こえてたのだろう。最近ベガと仲良くしてる子だ。

「ノブくんその反応は可愛そうだよ。もうベガちゃんのこと気づいてあげないとねー。気づかなくても気を遣うことはしてあげなきゃモテないよ」

 気づいてなくても気を遣う? ちょっと何言ってるのかかわからない。しかしモテないということは困る。ただでさえ美祢の彼氏設定ということで、校内随一のバカップルの称号を得ているのに。

 さらにベガもベガでよくわからない。何故照れて急にモジモジし始めた。これは照れてるよな? 照れてるんだよな? 何で照れてるんだ?

 クラスメイトのよくわからない助言とベガの状況を見て少し考えてみた。今日は二人しかいないので俺が深く考えているとベガが放置プレイを食らってしまう。なので早々と考えをまとめてみた。焦っていたと思うがまぁまぁの考えだと思う。

「二人だから別に教室でやる必要もないのか? どっか別のところに行こうか?」

 二人っきりで喋るなら確かに教室じゃなくてもいいよな。まぁそこでベガが照れる意味はわからなかったので結論が違うかもしれないがクラスメイトの気を遣えってところには答えになっていると思う。

 俺の言葉を聞いてクラスメイトはクスクスと隠す気もなく笑って俺の肩を何度も叩いてきたので何か意味合いが違ったのかもしれない。

「ベガちゃんベガちゃん。せっかくだから行ってきたら?」

 だがクラスメイトは手を振りながら俺とベガを見送っていたのであながち遠からずってことなのかな? 笑いまくっている状態は気になったのだが。見送られてベガと一緒に教室を出たのだが、ベガはベガでおとなしく黙ってついてきているだけだ。なかなか調子が狂ってしまう。

「で、どこに行くの?」

 黙って歩いていたのでベガが気になったのだろう。だが俺も一緒の気分だ。どこに行くのだろう?

 特に何も考えて居なかったのだがとりあえず外に出ようと足が勝手に下駄箱に向かっていた。

「もしかしなくても何も考えてなかった?」

「まぁそういうことだけどどうしようか?」

 俺は別にいつも通りにしてるつもりなのだがベガが変な感じに見える。隠そうとしてるように見えるんだけど緊張してる? 何で今更緊張するのかはよくわからないから緊張じゃないのかな? だとしたらどこに行くか決まってないから怒ってる?

 まぁ俺に選択肢なんてひとつしかないのだけどな。

「じゃあさ、ファミレスで喋る?」

「え?」

 ベガの返事は微妙な感じに聞こえたのでもっと別のところがいいのだろうか? しかし俺には学校周辺でのオシャレなカフェみたいなところなんて知らない。

「あれ? 嫌だった? どこか別の行きたいところある?」

「えっあっいや、別に……大丈夫」

「そっか。じゃいこっか」

 ベガの反応は相変わらずイマイチな感じっぽいが大丈夫ならということでファミレスに向かうことにする。まぁすでにそっちに向かって歩いていたわけだが。

 歩いて数分のところにあるファミレスなのだが店に着くまでベガは喋らなかった。俺も何て話していいかわからなかったので黙っていたからしょうがない。

 やっぱりファミレスは嫌だったのかなと不安になったのだが到着してしまったので一回ついてきているベガを確認する。そう表情を。

 俯いていたのだが俺が立ち止まり振り向いていたことに気がついたベガは慌てて顔を上げて無理やり笑顔を作ってるように見えた。

 お店に入ると店員さんが向かえてくれたのだがジロジロと見られている気がする。このファミレスはいつもそんな感じがする。そして席に案内される。

「入っちゃったけど嫌だった? って入ったあとに聞くのは意味が無いな」

 一人で喋って一人で乾いた笑い。なんか疲れる。

「いや、ちょっと緊張してるだけだから。大丈夫大丈夫」

 いつものベガっぽくないけど緊張ってどういうことだよ。そしてやっぱり緊張だったのか。ということは怒ってるわけではなかったのか。でもどうして緊張するんだ? と同じ考えがぐるぐると回る。

 いつもどおり教室で喋るようなことを喋るのだが反応はイマイチだったのでベガはファミレスとか嫌いなのかな? と勝手に結論づけてしまう。

 それでもポテトを食べながらジュースも飲みながらという教室ではありえないシュチュエーションでリラックスして喋っているうちにベガもいつもの感じになってきたのかなと思ってた。

 しかしベガはリラックスをどうやら通り越しているようでまたまた普段見られないベガになっていた。

 ずっと俺の方を見てニコニコしたかと思ったら急に恥かしがったりニヤニヤしてたと思ったら急にテーブルに突っ伏してしまったり。今日のベガは変なものでも食べてるんじゃないのかというくらいいつもと違っている。

「ねぇ城野~ジュースとってきてよ」

 甘い声でこんなことを言うベガは学校では見たことがない。一体本当にどうしてしまったんだ。

 そしてそんなベガを見てるといつもと違うギャップに可愛いなと少し思ってしまった。

 そういえば何で俺たちはファミレスで喋ってたんだっけ?

 結局いつもと違うベガを楽しんだだけのただのおしゃべりだった。

 そう、いつもの部活だった。

読んでいただいてありがとうございます。

暑い部屋の中で喜んでおります。

蒸し暑くてほんとに不快指数が高い。湿度は敵だ。でもエアコンも敵だ。

毎日何かと戦ってます。

そして生徒会長選挙真っ只中、全然いつもどおり関係のないおしゃべりを続ける旅行部です。

今回はベガちゃんがちょっとおかしくなっちゃいましたがこれもベガちゃんの魅力と表現できてればと思います。

では暑いですがまた来週。。。

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