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第22話

 試験が終わってまだ次の日というのに各教科さっそく試験の結果を点数にして返してくる。

 俺が書いたであろう答案用紙に残念な現実(点数)が大きく書かれて次々と返ってくる。

 そんなに結果を突きつけることを急がなくてもと思うくらいあっさりと返してくる。

 教室が各教科ごとに毎回ざわついてどうだったどうだったと見せ合いになっている。

 俺も、俺の後ろの奴がどんな感じか探ってみたが比べたくなかった。俺の後ろのやつはどうやらできる奴だったらしい。

 あっさりと満足そうな顔で答案用紙を見せてくれた。俺もにっこり顔で答案用紙を見せるくらいの点数を取れていれば良かったが、現実は乾いた笑いをするだけの点数しか持ち合わせていなかった。

 今日受け取ったテストの点数を見て一頻り(ひとしきり)落ち込んで部室に向かう準備を整える。

 準備を整えるのと同時に期末試験前は部室に行かずにちゃんと勉強しようと心に誓う。

 人のせいにするのは良くないが、あんな勉強会では取れる点数も取れなくなってしまうし、期末試験の結果も悪ければ夏休みに補習を受けないといけない教科も出てきてしまっている。

 何が悲しくてみんなが夏休みに入り涼しい部屋でダラダラと過ごしている間に、この暑くなるであろう教室の中で勉強しなくてはならないのか。それだけは絶対に回避したいのだ。それに万が一にも旅行部の中で俺だけが補習という状況を想像するだけでも嫌だ。何が何でもそれは回避だ。

 部室には一人で向かう。俺が一人で向かう時は大体美祢が何かやらかしている時だが、今回もちゃんと? やらかしているので職員室に呼ばれている。

 何をやらかしたかというと、テストの答案用紙に解答をボールペンで書いていたので、今担任の先生にお然りを受けているところだ。

 美祢は普段のノートもすべてボールペンで書いているので、テストが始まる前に特別に個別注意を受けていたのだがそれすらも無視していたようだ。

 アイツの中の何がそうさせるのか今度聞いてみよう。

 部室に向かう途中は先輩たちの結果はどうだったのかな? と気になってしまう。俺と茶山さん以外は結構余裕そうに見えてたけど、普段が普段だから開き直りかなと思ったりもしてしまっている。美祢はずっとよくわからないし点数も知らない。でもああいう奴に限って勉強ができたりするから世の中嫌になっちゃうってものだ。

 茶山さんはちゃんと勉強したいと言ってたし、今度は素直に勉強したい者同士で勉強するのもありだな。

 旅行部の勉強会は遊んでるだけだったし。あれは勉強会じゃない。ちゃんと図書室で勉強しよう! そうしよう。

「ちわーっす」

 軽い挨拶で部室に入るといつもどおりの桃花先輩と日田先輩。そしてその二人の間に居るいつも通りじゃないゆかり先輩。

 俺の目には桃花先輩が慰めているように見える。きっとテストの点数が悪くて桃花先輩が慰めているのかな?

 なんて考えたが、自分と同じようになっていると考えるのはよくないな。それに桃花先輩が慰めているということは桃花先輩は点数が良かったのか? そんなことは考えたくもない。

 テストじゃなくて何か凹むこととか嫌なことがあったのかもしれない。

「ゆかり先輩どうかしたんですか? テストの点数でも悪かったんですか?」

 なるべく軽い感じで聞いてみた。返答が俺の想像している悪い方になったとしてもまぁ返事はできるようには考えていた。

「そうですわ。テストの点数が悪かったらしくて凹んでいるのですわ。だからわたくしたが慰めているところですわ」

 ゆかり先輩ではなく替わりになぜか満面の笑みの桃花先輩が答えてくれた。

 ゆかり先輩は思ったより点数が低かったのかな? イメージだけだけどゆかり先輩は生徒会もやってるし頭いいんじゃないかな。ほら生徒会って成績優秀な人ばかりなイメージだし。

「じゃあ俺も慰めてください。俺は期末テストで点数悪かったら補習になっちゃう点数を取っちゃいましたから」

 俺は想像していた悪い方の返答が来たので頭の中で準備していた返事の答えを出した。まぁいわゆる自虐ってやつですよ。ほら、よくやるパターン。

「あらーそうですの? ノブくんはわたくしにどうして欲しいのかしら?」

 ……まずい。ゆかり先輩を傷つけないようにとかそれどころじゃなくなりそうだ。

 桃花先輩が目をキラキラと輝かせお腹を空かせた野生のライオンみたいになっていた。

 手もマッドサイエンティストがやりそうな動きで両手を動かしていた。

 怖いです桃花先輩。俺は何をされるのかわからない恐怖が込み上げてくる。

「じゃ、じゃあ私はノブくんと二人で慰めあうから!」

 突然ゆかり先輩が大きな声で、さらに声が裏返りながら変なことを言ったかと思ったら顔を真っ赤にしていた。恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。ホントにこの人はこういうところが可愛いんだから困っちゃう。

 しかし二人で対抗し合うなんて本当にこの先輩たちは仲がいいなと感心する。

「ゆかちゃんだけずるいですわ。なぜわたくしを仲間外れにするんですの? わたくしも仲間に入れて欲しいですわ」

 何が仲間外れなのか、いきなりまたわけのわからないことを言い出してハンカチを口で噛んで一人で盛り上がっている。細かいな桃花先輩は。

 いつものように俺は関係ないみたいな感じで漫画を読んでいる日田先輩に桃花先輩の暴走を止めて欲しい。ほらこの前の勉強会の後の時の何かわけありな感じでフォローしてたじゃないですか。あの時の桃花先輩はあきらかに普通じゃなかったですよ。あの時みたいじゃなくてもいいので暴走を止めてくれたら俺が喜ぶんですけどね。

 今は普通にテンションが暴走してるから、変な感じの桃花先輩から元気を取り戻し元に戻ったのか、それとも始めから大したことなくて大丈夫だったのか。ちょっと気になるところだけど今はそれどころじゃないしあまり突っ込んで行かない方がいいのかもしれない。

 このままではゆかり先輩が桃花先輩に襲われてしまう。いや、すでに襲われているのか。

「ゆかり先輩凹んでるみたいですけど、どのくらいの点数で凹んでるんですか? こうなったら傷の舐め合いまでしましょうか?」

「やだ。見せたくない」

 ゆかり先輩にしては珍しく強く否定し、そのままカバンを強く抱きしめてしまった。よっぽど思った点数よりも低かったのだろう。あんまり聞かないほうがよかったか。俺も聞かれたらやっぱり笑いながら答えるけどいい気分にはならなかったか。

「だから、わたくしが慰めてあげるって言ったでしょ? ほらほらどうしたのかしら?」

 相変わらず元気いっぱいでバスケットのディフェンスのような動きで慰めさせろと催促してくる。

 もうこんなの慰めじゃなくて怖いよ。特に目が。何か食べられそうな雰囲気まであるよ。

 ディフェンスの動作をしていると急に動きをやめ手を叩いた。嫌な予感しかしない。

「そうですわ! わたくしが次のテストで勉強を見てあげましょう! そうですわ、グッドアイディアですわ」

「あぁそれは結構です」

 俺は瞬間的に拒否した。考えるというよりも体が反応したようだ。よくやった俺の体。

 そんな俺の即拒否にゆかり先輩は謎の顔をしている。不思議がるということはゆかり先輩は一度も旅行部の勉強会に参加したことがないということかな。

 あの状況を見ると即拒否する気持ちはわかってくれるだろう。

「そういえばゆかり先輩って旅行部の勉強会じゃなくて家で勉強してたんですか?」

 なぜか俯いてもじもじとしている。いつももじもじしているそんな先輩が可愛いんだがなぜまたこのタイミングでもじもじし始めるのだろう。しかも顔をちょっと赤らめて……ってそれは俺が先輩に点数を聴いたり、先輩自ら恥ずかしめの自爆をしたからまだ顔が赤いのかな。

 そんな先輩をニヤニヤと嬉しそうに見つめている桃花先輩。また何かよからぬ妄想でもしているのかな。ホントに困った先輩だ。

「で、何でそんなに拒否しますの? 先輩が教えてあ・げ・る」

 色っぽく言ってもダメなものはダメだ。先輩も俺が拒否してる理由が本当にわからないのかな? 俺はもう無言で首りながら、

「この前の勉強会みたいな感じじゃ勉強にならないですよ。俺、本当に困ったんですから。まぁ困ったというかひどい結果になっちゃったんですけどね」

 最後は力なの無い笑が出てしまった。寂しい点数を取ったことを思い出してしまったのだ。

 そんな俺を見ながら今度は桃花先輩が不思議そうな顔をしている。

「何を言ってるのかしらノブくんは? あれは息抜きですわ」

 急に普通のトーンで、普通の顔に戻って喋り始めた。いやいやいや先生に勉強会ですって言ったじゃないですか。俺も勉強会だと思ってましたよ。あれ勉強会じゃなくて息抜きだったんですか。

 どうりで遊んでばっかりで全然教えてくれなかったわけだ。

「城野、それ以前にだな学校のテストくらい授業聞いてればできるだろ?」

 一生懸命漫画を読んでいた日田先輩が口を開いたかと思うと耳を疑う言葉が出てきて思わず聞き間違えたかと思った。

 今の日田先輩だよな? 口を開いたのは。どこかに小森江先輩が隠れてて言ったんじゃないよな? イメージだけど日田先輩よりも小森江先輩の方がそういうことを言いそうだったから。

 日田先輩ってそっち側の人だったんですね。ほとんどの人って、その授業を聞いてれば点が取れるっていうことはできないんですよ。

「旅行部で息抜きをして、家でしっかり勉強するんですわ!」

 桃花先輩も真面目か! いきなり真面目なのか! この人たちは部活以外では真面目なのか? なぜ部活ではふざけまくってるのか? わざとなのか? わざとというかこの人たちは本気でふざけてるっていう方がしっくりくるか。

 俺は頭の中が混乱していた。今ここに居る先輩たちは偽物なのか? それともどこかで頭でもぶつけてしまったり、風邪をひいて頭がおかしくなったりしてしまっているのか。それくらい俺は混乱していたってことだ。

「いいです。分かりました。先輩たちは一人で勉強がしっかりできるみたいなので俺はゆかり先輩と一緒に勉強します。なので期末試験の時には俺もゆかり先輩と一緒に部活休みますので」

 混乱しているのと先輩たちに嫉妬しているのとで、勢いに任せていってしまった。

 ゆかり先輩を見ると顔を真っ赤にして首を高速で横に振っていた。そんなに首振っちゃうと首がもげちゃいますよ。

 そういえば茶山さんも真面目に勉強したがってたな。

 先輩はまだ首を振っているからやっぱり男女ふたりっきりだとまずいよな。そういうことだな。

「茶山さんも勉強したいと言ってたから3人で頑張って勉強しましょう!」

 今度は寂しそうな顔をしていたけど首を何度も縦に振ってた。オーケーという意味で捉えていいのかな?

 首を横に振りすぎて涙目にまでなって痛かったのかな。

 そういえば茶山さん来てないな。せっかく入部してから試験期間が終わって最初の日だったのに。

 入部してすぐいつもの旅行部で楽しんで欲しかったけどどうしたのかな? やっぱり勉強会で嫌になっちゃったのかな?



 しかし茶山さんも、美祢も今日は部活に来なかった。何かあったのかな?



旅行部がまた旅行しなくなってますすみません。

いやしなくなったというか1回しかしてないですけどね。

旅行してなくても旅行部は旅行部らしくもっと変なことやってるんじゃないかなと考えながら変なことを絞り出してます。

特に美祢。とにかく普通ということをとっぱらってるので書き直しが多いです。これじゃ普通か、美祢はこんなもんじゃないと自問自答してます。


さてさて実は今日お休みなのです

会社ったらこんな日に休みにしなくてもいいのにひどい

もう一人で映画見に行くんだから!

ということでまた来週。。。大晦日とかも関係ないんだからねっ!

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