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第14話

 この俺の胸のワクワクは入学式以来かもしれない。いや、入学式のワクワクよりはワクワクしていない、旅行部の現状を理解しているからだ。

 それでも旅行部に入ってから1か月。入部以来では一番ワクワクしている。

 何せ旅行部の活動が本当の意味でスタートするからだ。もう何度目のスタートだろう。今回は本当のスタートだと信じたいし、期待していいと思っている。

 期待してる理由は、桃花先輩に放課後部室のセッティングを手伝ってくれと言われているからで、何か始まると思ってワクワクドキドキしているというわけだ。

 放課後まで待ちきれなくて休み時間がくるたび美祢に『何ソワソワしてるの? 変なの』という感じで心配? されている始末だが悪くない。

 俺がソワソワしてただけじゃなくてなぜか俺の後ろの奴もソワソワしてて二人でずっと今日はソワソワしてた。

 無駄にテンションが高くて昼ごはんには、食堂で一番高い800円のランチセットを二人で食べてしまったくらいだ。

 俺は部活の件でテンションが高まっていたが俺の後ろの奴がなぜテンションが高かったのかは結局分からないまま、待ちに待った放課後がやって来た。今日ほど授業に身が入らなかったことはない。テストで心ここにあらずで酷い点を取ってしまったがそれはもう忘れよう。辛い思い出だ。

 桃花先輩のお手伝いのためにとりあえず部室に向かう。隣で腕を組む美祢ごとスキップ。いつもとは逆のテンションだ。今日は美祢がちょっと俺のことをウザそうにしている。

 テンションが高くてもやっぱり頭のどこかで引っかかってる女の子のことが頭をよぎってしまう。そしてスキップしながらも気になる女の子が居た場所あたりを見渡したがやはりいなかった。

 本当に一体なんだったんだろう。幻想にしてはやけにリアルだったし本当に気になる。

「お疲れ様ですわ。ノブくんすごいテンション高いですわね。どうしたんですの?」

 部室に入るなり桃花先輩が何かを飲みながら出迎えてくれた。コーヒーか? 紅茶か?

 美祢は美祢で、『今日の城野君は面倒くさいから気を付けたほうがいいよ』って面倒くさいってどういうことだよとは突っ込まなかった。自分でも今日の俺は面倒くさいなってわかるからだ。

 桃花先輩はというと苦笑いしながらもまだ作業は始めてないようで、旅行部通常営業中状態だったが、いつもと違う桃花先輩にやはり俺はテンションを上げざるをえなかった。

 いつもはテーブルの上には何もないか、ボードゲームが広げられていたが今日はなんとノートパソコンを桃花先輩がいじってるのだ。そう! きっと旅行部の準備だろうと勝手に思い込みそして勝手にテンションを上げる。

「ねぇ、城野くん。今日はホントにどしたの? 熱でもあるの?」

 いつもの美祢は俺から見るとこんなテンションなんだぞ! しかし今日はえらくクールな美祢。

 いつものバカ騒ぎハイテンションの美祢はどこにも居ない。まるで俺と美祢が入れ替わったようだ。だが入れ替わったりなんてしていない。俺は俺。美祢は美祢だ。

「テンションアゲアゲのノブくんに早速だけど、カツくんがわたくしのクラスですでに荷物を運び出す作業をやってるので手伝って来てくれないかしら?」

 桃花先輩はノートパソコンをじっと眺めながら俺に指示を出した。美祢も桃花先輩のノートパソコンを一緒に見ていたが俺はさっそく小森江先輩のお手伝いへと駆け出そうとした。

 そういえば桃花先輩って何組だったかな? 自信がなかったので一応確認しておかないとな。

「カツくんはきっと2組に居ますので先にそちらに行ってもらえますか? わたくしのクラスは3組ですわ。荷物が多少ありますのでよろしくお願いしますわ」

 部室の扉の前でぴたりと止まった俺の考えを見抜いたような返答。さすが桃花先輩! なんて考えてる俺は、テンションが上がりまくっているせいか非常におかしなことになっているに違いない。

 部室に来る時と変わらぬ心も体もスキップ状態でまずは小森江先輩の居るであろう2年2組を目指す。


 2年生の教室に行く途中に、俺を見る生徒が変な目でこちらを見てくるが気にならない。美祢と居るときにいつもそういう目で見られている。

 慣れって怖いのか、今のテンションで周りが見えていないのか、どちらにしろ俺は後で後悔することになるんだろうか?

「おー旅行部の1年だ! 相変わらず変なやつばっかりだな旅行部は。あんまり徘徊すんなよ」

 新校舎に入り先輩たち数名に声をかけられる。旅行部は変人という公式は先輩たちの間で成立しているようだ。おそらくだが、1年生の間でもこの公式は当てはまっているかもしれないが。

 そして2年生の教室の廊下で日田先輩が見えた。どうやら日田先輩も荷物運びをやっているようで、手には何か小さな箱を2つもっていた。

「おぉ城野。お前こんなところで何やってんだ?」

 日田先輩は俺が手伝いに来ることを聞かされていないような反応だった。本当に段取りが悪いのか、それとも連絡という手段を知らないのか。

「荷物運び手伝いに来たのですがどうしたらいいですか? 日田先輩は何持ってるんですか?」

「何って機材だよ機材。あいつ頭おかしいだろ。カツが3組にいるから手伝ってくれ」

 俺は親指を立てて了解のポーズ。そしてスキップしながらまた3組に向かう。間違えないように2組じゃなくて3組だ。

 日田先輩があいつどうしたんだ? って言ってるように聞こえたが、テンションが高いだけです。しかし気になるのは頭おかしいだろっていうのはどういうことなんだろう。俺のことではなさそうだった。きっとあいつとは桃花先輩か小森江先輩のことだと思う。いや、スキップしてる俺を見て頭がおかしいというのも、今の俺の状態では納得がいく言葉だが、それだったらあいつじゃなくてお前とかいうはずだしな。きっと俺のことじゃないんだろう。

 スキップして先輩達の目線を浴びながら到着した2年3組の教室。つまり桃花先輩の教室の後ろがすごいことになっていて驚きで腰が抜けそうだった。口は開いたまま塞がっていない。

 その驚いた教室の後ろの風景はというと、プロジェクターやらスクリーンやら音響のセットやらがごちゃごちゃと埋め尽くしていて一体何が何だかわからない状況だ。この教室で当たり前のように過ごしている先輩達ってどうなってるんだ。教室の後ろのスペースはほとんどない。

「おぉ~城野くんだ。みんな聞いて、この子が旅行部の城野くんだよー。うちの新入部員!」

 ゆっくりとした口調で、誰に向かって自己紹介をしてくれているのかわからないが、その自己紹介を聞いた先輩たちに囲まれてしまう。小森江先輩なぜ今このタイミングで俺の紹介をしたのですか? 俺は今開きっぱなしの口で驚いてることに忙しいんですよ。

 そうすると、『あれが桃花のお気に入りか。いいぞ旅行部もっとやれー』なんて謎の応援が飛んでくるが桃花先輩のお気に入り? 俺が? 

 この教室の風景だけでも驚きまくっているというのに桃花先輩のお気に入りが俺なんて話が出てきたら驚きのパニックでどう反応していいかわからない。

「城野くんも手伝ってくれるの?」

 小森江先輩の言葉でようやく我に返り俺は言葉を発するよりも先に首を縦に何度も振った。

 そして俺は小森江先輩にスクリーンを持って行ってと指示を受ける。

「重っ! これ何なんですか???」

 このスクリーンめっちゃ重いんですけど。あとこれ何に使うんですか? もちろん旅行部の部室まで運ぶんですよね? これただの布じゃないんですか? 見た目が布だったのに手に持った時の重力感がもすごかったことのギャップに俺の脳みそはパニックを起こした。

「いや、だからスクリーンだって。なんか桃ちゃんが4Kがどうのこうの言ってたよ」

 小森江先輩がよくわかんないことを言ってたけどとりあえずこれを運ぼう。

 スクリーンと呼ばれているこの重い布を部室まで運んでいる時によぎったすごく嫌な予感。あの教室の機材を全部運ぶのか? だから日田先輩は頭おかしいって言ってたのか? 

「桃花先輩、多少の荷物じゃないですよ。あれ……」

 俺の背中に変な汗が流れた。この汗は重い物を持って流れた汗なのか、それともこの先に訪れるあの機材を全部部室に運ぶということを想像した汗なのか俺には分からなかった。いや、分かろうとしなかっただけだった……

本格的な活動?にはならなかったですが動き始めました旅行部。毎回言ってるなこれ。

少しずつですが書くことにも慣れてきましたが書いててあれ?この子最初の段階でこんなイメージだっけ?なんて思って設定を確認して設定プロフィールを書き換えたりしてます。

そして実は私、今投稿時刻に移動中だと思います。遠出をしております。まさにリアル旅行部!なんちゃって。

しかし自動アップって便利ですね。アップすることを忘れたことが何度かあり深夜に投稿したこともありましたし、これからは自動アップを使っていくと思います。

土曜日の朝10時に上がってなかったらサボってんなって思ってください。

ではまた来週。。。


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