第一章 第四節 捕獲
中林に新聞を破られたのが相当こたえたらしく、その後、琴子の鬱憤を晴らすためファミレスに付き合うことになった。
三杯目のジャンボチョコレートパフェをほお張りながら、
「ってか中林むかつくよね。あれを記事にしなくて、何を記事にするんだって感じ。本当に新聞部の顧問かよ。あ〜腹立つぅ〜」
琴子のダイエットは当分できそうにないな。
さてと・・・
「じゃあ、僕は先に帰るよ。」
「高宮まで裏切るわけ?うぅぅぅ〜。いいも〜んだ。」
琴子はそう言ってまた大きな口でパフェをほおばった。
・・・
「すっかり遅くなっちゃった。」
ファミレスから出た琴子はそのまま帰り道のバス停に向かった。周りはもうすぐ11月にさしかかろうという季節そのままに暗くなり始めている。
(何日か前はこの時間でもまだ明るかったのにな。)
暗がりが気持ちにも暗闇も差し込んだように琴子は怖くなってきた。周りには誰もおらず、琴子の靴跡がカツーン、カツーンと響くだけだ。
(やっぱ殺人事件の取材なんかしなけりゃ良かった・・・怖いよ〜)
すると、今まで一つしか聞こえなかった靴跡がもう一つ聞こえた気がした。琴子は怖くなり歩調を速めた。すると、もう一つの足跡も全く同じように靴跡を重ねる。琴子は怖くなり、走った。すると、もう一つの足跡も全く同じ、いや、さらに早い速度でどんどん近づいてくる。
そして、靴音が真後ろに聞こえ、振り返ろうとした瞬間、
頭に鈍痛を感じると共に、琴子の意識が途切れた・・・