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現実と逃避

中々進まない&主人公が倒れすぎですが、次から話を進めようと思います。



ーー「どうして魔力持ちなだけで差別されるんだろうね」


暗闇の中女の人の声が聞こえる。


ーー「人と違うところなんてほんの少しなのに」


悲しみで震える声色だけど、それでいて強い意志を感じる。


ーー「だから、私は人と           」





続きの音は聞こえない。

私は知らないはずなのに知っている。

理由を思い出そうとした瞬間暗闇から一転して真っ白で明るい空間になり目が覚めた。

ふかふかの白いベッドに何故か横たわっている。

辺りを見渡しても全く見知らぬ場所。

自分の自室でも病院でもない昔のお城を連想させるような空間。

寝起きだからかぼんやりと働かない頭に再び眠ろうと目を閉じようとするが不意にノック音が聞こえた。


「え、あ、はい…どうぞ」


「失礼します。おはようございます、そろそろ起床されませんとお昼を過ぎてしまわれますよ」


現状を把握できないまま思わず返事を返すと部屋の扉が開き声の主が姿を現した。

坦々とした夢の彼女とは違う声でほっそりとしながらも女らしい体付きのメイド服女性が立っていた。

綺麗な夕陽のような瞳に青空を連想させる肩まで伸びた髪に目を奪われる。

倒れる直前に見た変態とは大違いだ……変態?


「あぁぁああああ! あの変態!人にいきなりディープなのかましてきてなんなの!露出狂並みにタチが悪いわ!!」


ばっと上半身を起き上がらせ叫ぶ、叫ばずにはいられない。

今でも鮮明に思い出したくないが思い出せる。

一度思い出せば生々しい感触から嬉しそうな顔まで浮かび上がりゴシゴシと倒れる前に来ていたバイトに向かうための私服とは違う服の袖で唇を拭う。

…やけに肌触りがいいと思ったらいつの間に着替えた?


「も、も、もしかして…あの変態が…っ!?」


「いえ、それは私がさせていただきました。……中身が違うとはいえ魂はあの方のモノ、私の目の届く範囲では許しません」


「そう、ですか…」


節々に何故か棘を感じる…気がするだけではない。

腕を止めコツコツとスカートの裾を揺らしながらこっちに向かってくる女性の目は…冷たい。

私はこの目の意味を知っている。

この女性は目の前の人間が、私がどうやら気に入らないらしい……もしやあの変態のことが…


「そんなことあるはずがないので気持ちの悪い妄想はおやめ下さい。」


「思考が読まれた!?」


「読まずとも顔にはっきりと出ておいでです。もしそれで隠してるつもりなのでしたら鏡でご自身のお顔をお確かめください、間抜け面が映りますよ」


「なんでかすっごい初対面の人に貶されてる…っ」


あり得ないだろうと思いつつ可能性のある想像をしただけなのにベッドの横に立った女性には気に入らなかったようだ。

表情が一切動かない彼女からの言葉の攻撃に肩を落とし項垂れるがすぐ様顔を上げた。

大事な事を忘れていた、忘れてはいけない事を。


「此処が何処なのかとか、あの変態はどこなのかとか聞きたいことは山ずみですけど私には今から一番大事な事があります」


「はい、なんでしょう」


「私もうすぐバイトの時間なんです!大事な大事な生活資金を調達しなきゃなんです!私なんて攫っても身代金なんて払う身内はいません、だから今すぐ家に帰してください!」


変な事態に巻き込まれたとはいえ何はなくともまずバイト。

あの変態が私の名前を知っていたことから素性はバレているだろう……プライバシーの侵害だ。

まぁ、百歩譲ってそれは許せてもバイトに行けないのは許せない。

私を嫌っているのだからメリットがないのに延々と私を置いとくはずがない。

それに殺すつもりなら最初からナイフやら武器になりそうな何かで脅してくるだろう。

なのに懇切丁寧にこんな綺麗な場所で寝かせているのだから危害は加えられないはず。

そんな持論を頭の中で繰り広げて彼女からの肯定に期待する。

その答えしかないだろうと。

しかし、それは裏切られた。


「無理です。貴女を返すことはできません」


「……それはないんじゃないですか。なんの目的があって私を連れてきたのかは知りませんが、勝手なことしといて無理ってなんで…」


「此処は貴女が居た世界とは違う次元にある世界。地球が表とするならば裏の世界とされる場所であり…」


あまりの返答に頭が上手く動かない。

そんな私に目もくれず女性はベッドから近くにあった小窓へと近づくなり窓を開けた。


「今私達が居るのは人間達が言う魔族の住む場所の城。貴女は…いいえ、貴女の魂はこの所謂魔界を作り上げ城の主であったメリッサ様です」


開かれた扉の向こうには見慣れぬ街があった。

御伽話や外国で見かけるような古い作りの建物の並ぶ、日本とは全く似ても似つかない場所。

唯一同じなのは空だけで、その空すらも鳥ではない何かが飛んでいるのが遠目からもわかった。


「よって、貴女の魂を差し出すなら地球にお返ししますが、出来ないのでしたら諦めてください。」


自分勝手な私の都合も考えてない事を言う彼女に怒りが沸く前に気が遠くなるのを感じる。

ぶっ倒れすぎだろと自分でも思うがキャパオーバーでショートしそうな状態だから都合がいい。


どうか次目が覚める時はこの悪夢が終わっていますように。

そんな事を願い「どうして貴女が」なんて彼女の呟きを聞きながら自ら意識を手離した。

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