プロローグ
~プロローグ~
世界なんて変わらないと思っていた。偏見、先入観。わかっているけれど、どうだってできやしない。そう俺は思っていた。だって、そうだろう。他人がどう俺のことを思っているのかんてわからないし、それにその思いを変えることなんてできやしない。だって、勝手に想像して、勝手に思っていく。だからそれでいいと思っていた。
極力誰にも関わらないように生きていければいいと思っていたし、それで十分だと思っていた。誰かにわかって欲しいとか思っていないわけじゃない。けれど、仕方ないだろう。俺は俺であって、俺でしかない。そう、そう思って今まで生きていた。
月日がたって変わるかと思ったが、変わることなんてなかった。外見ってそんなに大事なのかな。
俺はふと鏡をみた。背は180センチ以上ある。どちらかというと高いほうだ。だが、それ以上に目立つのは髪の毛だ。四分の一だけ俺は日本の血が入っていない。そのため、肌は普通より白い。そして髪がどうみても赤茶色だ。染めたわけでない。黒に染めようかと何度も思ったが、祖父がそれを許さなかった。「お前には誇りがないのか」とわけのわからないことを言われ続けた。だからこのままの赤茶色の髪でいた。光が当たると赤が強く見える。そして、何かスポーツをしてきたわけでもないのに、筋肉が付いている。体重を頑張って落としているが、筋肉の付き方がやはり周りと違うらしい。細マッチョならいいのだが、服の上からもわかる筋肉の付き方をしてくれている。
ダイエットを続けてもあまり効果が見られない。こまったものだ。だから極力髪の色が目立たないように短くするのだが、これまた上に向かってはねてくれるのでツンツンしているようにしか見えない。そして、生まれつきの目つきだ。切れ長なのだが、振り向くと怒っているのかと言われることが多い。
そんなわけで、俺はいつも不良と思われていたし、誰も怖がって俺に話しかけるヤツなんていなかった。不良でないと言っても誰も信じないため、勉強だけは頑張ったし、趣味に読書と書けるくらい本も読んでいる。といっても多くは漫画やラノベだが。後は一部本格派と呼ばれるものも読んでいる。
だが、不思議と俺が図書館に行くと周りがざわつくし、席で勉強しようとするなら周りにいるものはすぐにどこかへ行ってしまう。
おかげで、学校行事を楽しいと思ったことはない。だから、いつも一人でいることにした。それが多分クラスメイトにとっても平和だし、俺も気を使いながらビクビク話しかけてくるヤツがいなくなってよかったと思っていた。
これでいいん。 そう、思っていたはずなのに、俺は出会ってしまったんだ。俺の世界を根底から覆すあいつに。