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生命の行方・第一部  作者: 杉谷ゆぬの(果樹)
第6章・立てこもり事件
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ウィン、捕まる

俺は三階に到着した。でも、俺は本当にマサヤをおいてきてよかったんだろうか……?

三階には俺を襲わせたあの男がナースステーションに医者と患者を詰め込んでいた。

「ウィン!」

ニコルが俺の姿を見て反応する。

「来たな。杉崎雅也は……YK01が相手しているか」

「お前、何が目的なんだよ?」

俺は聞く。

「目的か……杉崎雅也を処分し、ICチップを奪うことだ」

ICチップ……?そういえばマサヤの体から出てきたって言ってたな。あれか。

「それなら今私が持ってるぞ!必要ならくれてやる!だから、スギサキ君やほかの患者さんたちには手を出さないでくれ!」

えっ!?部長がなんで?

「残念だが、それは出来ない。杉崎雅也は俺たちの正体を知っている。そんな奴を生かしておくわけにはいかない。」

男は一瞬ニヤリと笑い、すぐに元の無表情に戻った。

懐から携帯を出し、どこかと連絡を取る。

俺はそのうちに人質を助け出すことに決めた。

「大丈夫か?」

「ああ、平気だ。それより、俺たちより先に患者さんたちを頼むよ。俺たちには作戦があるからさ。」

ニコルはそう言って、実はすでにはずしてある縄をひらひらと振った。

「……わかった」

こっそり患者さんたちの縄をはずしていく。

「先生、マサヤは大丈夫なんですか?」

ニコルの患者のキースに聞かれた。

「本人は大丈夫と言ってたんだけどな。俺は心配だ」

大半の患者さんの助け出したところで男が通話を終わらせてしまった。

俺の行動に気づき、男は俺に近づいてくる。

「ふんっ…、そんなことしても無駄だ」

男は俺の頭に拳銃を突きつけた。

「っ……」

そして俺はあっさりと男に捕まってしまった。

捕まっているのは俺とニコルの患者のセルだ。

ニコルと部長も捕まっているのだが何か考えがあって捕まってるらしい。

「ウィン先生よぉ。元ヤンなんだから何とかしてくれよ」

「元ヤンは一応内緒なんだ!黙っとけ!」

「大体の人が知ってんだけどなぁ……」

「なにをこそこそしている」

どうやらこの男、さっきから苛立っているようだ。なにが原因だかはわからないが、さっきの電話が原因の可能性が高い。

「……くそ、戦力は減ったが、あれも手負いだ。俺だけでも処分できる……」

独り言か?でも、手負いって聞こえたな……。あいつ等が狙ってるのはマサヤだ。ということは、マサヤはすでに怪我をしているということになる。

「バカ、あいつ……!」

「あいつ等が狙ってるのはマサヤ兄さんだろ?てことはよ、兄さんはもう怪我してんじゃねえか?」

さすがはセルだ。

ん?でもマサヤはセルより若いよな?なぜ兄さん……?

まあ、そんなことはいい。今はこの状況をどうするかが問題だ。


男は俺たちに背を向けて階段の方を睨んでいる。

「……来たか」

男はつぶやいた。拳銃をそっちの方向に構えている。

「マサヤ!」

「……先生、なに捕まってるんですか……」

「お前だって、人のこと言えねえだろうが」

階段をのぼってきたマサヤはわき腹から血を滴らせている。

あの傷……かなり深い。あのまま放っておいたら出血多量で命に関わる。

「MSAAA……。お前を処分する!」

男はマサヤに銃を向ける。

「くっ……」

「マサヤ逃げろ!!」

男は引き金を引く。そのとき、ニコルたちが動いた。

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