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生命の行方・第一部  作者: 杉谷ゆぬの(果樹)
第1章・運命が変わる前触れ
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妙な胸騒ぎと事故の被害者

『……次のニュースです。今日未明、アリワナ兵器研究所で、兵器の暴走事故が発生しました。この事故により研究員21名が死亡、1名が重体となっており、近くの病院に搬送されました』

「はあ……兵器か……。物騒なもん作るなよ……。死ぬぐらいならそんなもん研究すんなっての」

俺、ウィンストン・ジャーナルは独り言を言いながらテレビを消した。鞄を持ち、靴を履く。よく寝坊して遅刻する事が多いのだが、今日は妙な胸騒ぎがして目が覚めた。まあ、のんびり歩いて、病院まで行けばいいか。

(ん?そういえば、アリワナ兵器研究所ってこの街の近所じゃなかったっけ……?まあ、いっか)


俺の働いているワーナル総合病院は総合病院と言いつつも小さかったりする。まあ、街の規模がそんなじゃないから大丈夫なんだけど。

俺はマイペースに白衣を着て、医局に行った。すると、同僚のニコルがいた。

「あれ?ウィンおはよ。今日は遅刻じゃないんだな」

「ああ、おはよ。……実は妙な胸騒ぎがして、目ェ覚めちまったんだ」

「はっはーん。じゃあ、今朝のニュースは見てるな?アリワナ研究所のやつ」

「ああ。って……まさかっ!」

もしや、重体患者はここに運び込まれたのか?うわー。俺の予感大当たりってヤツ?

「そう、そのまさか。今部長が緊急オペ入ってるけど、なんかすごかったらしいぞ?野次馬してた患者さんによるとどうもめちゃくちゃ撃たれてるっぽくて。しかもまだ若いらしい。見た感じ二十歳前後って言ってたかな?」

「へぇ」

そんなに若いのか。っていうかニコルは患者さんに何聞いてるんだよ。

「……お前、患者さんに注意しろよ」

「したした。ついでに聞いたんだ」

「……」

でも、なんで撃たれてるんだろう?兵器の誤動作による事故だって話じゃなかったか?


……まあ、とにかく。俺たちは雑談しながら仕事をこなしていった。雑用を続けていると、部長が戻ってきた。

「あ、部長。お疲れさまです」

声をかけると部長はとてつもなくニコニコしながら俺をみた。

「なあ、ウィンストン?」

「……は、はい」

なんか、ものすごく嫌な予感がする。

「もう、知ってるよな?な?」

「な……なんのこと……でしょうか」

きっとこの人は例の事故で運ばれて来た患者を俺に押しつけようとしている。

「今朝運ばれてきた重体の患者、君の受け持ちってことでよろしくねっ」

この明るく爽やかな、語尾に音符でも付いてそうな言い方。これは異議は認めない言い方だ。俺に拒否権はもちろんない。

「じゃあ私は仮眠してくるから~何かあったら起こしてね」

おっさんは有無を言わさず仮眠室に逃げ込んでいく。ああぁ……。強引に仕事を押しつけられちまった……。


俺は例の患者の病室に向かった。まあ、もちろんのこと意識はない。

それにしても……若い。ニコルは二十歳前後って聞いてたみたいけどもっと若いな。17,8じゃねえかな。

病室を出ると警察官が二人、部屋の外で待っていた。確か、事故の捜査の最中にこの患者を発見したって噂を耳にしたけど……。

「すいません。あなたはこの病室の彼の主治医の方でしょうか?」

「はい、そうですが……」

「私達、こういうものです」

彼らは俺に向かって警察手帳を見せる。まあ、言われなくても雰囲気でわかるから。

「実は……彼の様子についてお伺いしたいんです」

「はあ、まだ意識は戻ってないですよ?」

「ええ、それはわかっています。聞きたいのは彼の外傷についてなんです」

「傷?ですか?」

なんでこの人等はそんなこと聞くんだろう?

「なんでそんなこと聞くんですか?事故の被害者なんでしょう?」

俺は素直に聞いてみた。

「実は……」

警察は躊躇うように口を閉ざし、そして話し始めた。彼らの話によると、惨殺されていた研究員の遺体とこの部屋の患者とでは、外傷の種類が全く異なるらしい。

研究員の傷はそれほど硬くないもので無理矢理貫かれたような傷が多いのに対し、ここの患者はすべての傷が銃創である。と、いうことらしい。俺は預かったカルテを見ながら、警察の話を聞く。……ていうか、俺に聞かなくても、全部知ってるじゃん。

「て、ことはどういうことなんですか?」

「これは私の推測なので、実際にはまだわかりませんが……研究所に我々が到着したときはセキュリティもドアも、シャッターも全てロックがかかっていました。

研究所に閉じこめられてしまった研究員は暴走した兵器に抵抗するため発砲した。しかし、抵抗もむなしく殺されてしまったが、兵器をくい止めることには成功した。……おそらく、兵器はこの部屋の彼だ……」

は???……なんだって?人が?人を殺す兵器だと?

「いやいやいやいや……」

「突拍子もない意見なのもわかります……、ですが、それ以外に考えられるものがないんです……。あとは、真実を今生き残っている彼に聞くしかありません……」

警察は俺に捜査の協力の依頼をして、帰っていった。

……だめだ。気分を変えないと頭が追い付かない……。そうだ。看護師と打ち合わせしてこよう……。

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