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生命の行方・第一部  作者: 杉谷ゆぬの(果樹)
第2章・俺を救ってくれた人たち
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検査の結果

少年はふだんと変わらない生活を送っていた。ただひとつ……妹がいないということを除いては……。


少年は大人たちに怒りの目を向ける。

「実験って……いったい何なんだよっ!?ユキをどこにやったっ!?俺に……何をしたんだ!!」

大人たちは、彼の言っていることなど耳に入っていないかのようにひそひそと話す。

「やはり……適応率が低かったようだ……。しばらく様子を見よう……。値が上昇する可能性も十分にある……」



「……」

「スギサキくん!」

なかなか意識がはっきりとしない。

ぼんやりしたまま視線を声のする方に向けると、本当に申し訳なさそうな顔をしているロナさんがいた。

「大丈夫?ちょっと血を抜きすぎちゃったみたいなの……ごめんなさい」

どうやら俺は診察室のベッドに横になっているらしい。

「う……」

頭がくらくらして起き上がれない。ただでさえ怪我をして体内の血液の量が減っているところを、さらに血を抜いた為に本格的な貧血になってしまったようだ。

「スギサキくん、平気?」

平気というのはどういう意味だ?体調は絶不調なんだけど……。

「今から検査するんだけど、……なにも食べてないよね?」

うん?その質問はもしかして……。


俺は気づくと自分の病室のベッドに寝ていた。

一通りの検査を受けた際、軽い麻酔をかけられて寝ていたらしい。

「あれ……」

起き上がろうとして、やっぱり貧血で起きられない。ふう……とため息をついて、そのままベッドに横になっていた。


しばらくぼーっとしているとドアをノックする音が聞こえた。

「マサヤー、結果出たぞー」

ニコル先生が勝手に入ってくる。

「お。大丈夫か?貧血で倒れたって聞いてさ、心配したぞ」

「すいません……」

「謝る必要ないって。で、結果なんだけどさ」

リクライニングを上げ、ニコル先生の話を聞く。

「なんか、異常とかありましたか?」

「いや、特には見当たらないな。内臓の機能が低下してるってわけでもないし。強いて言うなら……抵抗力が落ちてる。ウィンに近づいたら確実にお前は死ぬな」

ウィン先生……そんなにヤバいのか……。インフルエンザってホントみたいだな。

「まあ、ウィンは一週間来ないから。うつされることはないぞ。安心しとけ」

一週間か……。少し長いよな……。ちょっと話したいことがあったんだけど……。

「あ、そうだ。お前、貧血で倒れたんだよな?」

「そうですけど、それがどうしたんですか?」

「うん……、赤血球の数は普通と変わらないし、多分ただ単に体内の血液量が少なくて倒れたんだな。……ちょっと危なかったかも」

「何がですか?」

「ほら、人って体内の血液の内三分の一くらい無くなると結構やばいんだよ。昏睡状態になったり」

……それってもしかしなくても昏睡一歩手前だったって事か?

「ま、血出す事なんてほとんどないだろうしさ、そのうち元の血液量に戻るから心配すんなよ」

……ほんと、気をつけないと……。

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