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生命の行方・第一部  作者: 杉谷ゆぬの(果樹)
第2章・俺を救ってくれた人たち
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病院内を歩いてみる俺

「…………!!」

俺は悪夢にうなされ目が覚めた。勢いで起きあがってしまったことで体中が痛み、ここが病院だということを思い出す。

「う……」

……とても嫌な夢を見た。思い出したくもない、幼い頃の記憶。

汗をじっとりかき、呼吸はなかなか落ち着かない。ゆっくり深呼吸して自分の呼吸を落ち着かせた。


まだ窓の外は薄暗い。どうやら少し早く起きすぎてしまったようだ。

「なんか、気持ち悪い……着替えよう……」

部屋の中を見渡すと、小さなテーブルの上に着替えが置いてあった。

「いててて……」

ちょっとした拍子で傷が開きそうだ。でも、なんとかなるだろう。ベッドを降りて、服を脱ぐ。

「点滴邪魔……」


とりあえず着替えたし、このあとどうするか……。

ふと思いついたのがこの病院の中を歩き回ってみることだった。


部屋を出ようとして、気づいた。

(俺、病院脱走の常習犯だと思われてるんじゃ……?)

「書き置きしとこう」

メモを残し、テーブルに置いておいた。


「おし。これで多分心配されない」

病室から出て、廊下を歩く。静かな病院……なんだかあの施設を思い出して怖くなる。

「……ふう」

談話室みたいな場所があった。そこで、一息つく。

あまり動かなければ傷が開くことはなさそうだ。椅子に座り、テレビの電源を入れた。朝早いので、ニュースくらいしかやっていない。

『ワーナル地方は全体的に晴れ。南マルア地方は晴れますがところにより雲が多くなるでしょう。次は週末の天気です……』


俺はナハネ族という少数民族だ。だが、ナハネ族を見た目で判断することはできない。見た目はほかの民族と変わらない。違うのは身体能力の高さだ。

普通の人と比べると1.5倍くらい違うという話を昔聞いた。俺は気にしてないからいいんだけど。

でも……。

「いっ……!!」

急に胸の傷に激痛を感じた。何でだ……?なんかやったっけ……?

テーブルに顔を伏せて、ズキズキする痛みに耐える。

もう少し経てば誰かしら俺のこと気づいてくれると思うんだよな……。



「スギサキくーん。あさ……」

ロナは固まった。マサヤはまたもいない。

急いで部屋の中に入ると、着替えたらしく、丁寧に畳まれた服と書き置きが残されていた。

『少し病院の中をうろついてみることにします。』

「なんだ……またも脱走しちゃったのかと思ったわ」

ロナは胸をなで下ろし、マサヤを探しに病室を出た。


廊下に出ると入院中の女性が慌ててやってきた。

「ロナさん!男の子が談話室でぐったりしてるの!急いできて!」

「わ、わかった!」

話を聞き、ロナは急いで談話室に向かった。

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