暴走・死へのカウントダウン
警報がその建物内に響きわたった。その音を聞いた人々は一目散にその場所から離れる。しかし……
「……しまった!!もうロックがっ!!」
逃げ遅れた人々はシャッターに行く手を阻まれ、閉じこめられた。そんな彼らの目前に、人の姿をした大量殺戮兵器がゆっくりと、だが確実に近づいてくる。
兵器はそこにいる人々を次々に惨殺し、床が真っ赤な血で染まっていく。
「だめですっ!!……制御不可能です!」
「……しかたない……っ。あれを破壊する!」
生き残った人々は銃を持ち、銃口を兵器に向けた。弾は次々に兵器に命中していく。……だが、兵器を破壊するには至らなかった。
銃を持った人間さえも一瞬にして命を奪われていく。そして、人々はつぶやいた。
「もう……私たちはおしまいだ……」
「なぜ、こんなものを作ってしまったのだろう……」
このつぶやきは誰にも届くことなく、兵器は無情にも彼らの命を奪った。
(……だめだ……っ。やめろ……!俺はこんなことをしたいんじゃない!止まれっ!止まってくれ……!)
見たくないと願っても見えてしまう惨状。こんなことをしたいはずはないのに、体の主導権は自分以外の何かに握られている。
体には鉛の弾が撃ち込まれる。だが、何かは命が削られていくことも構わずに殺戮を続けた。
この場にいたすべての人間を惨殺した何かは、主導権を握ったまま移動を開始した。
(返せ……返せよ……!俺の体だ……!勝手に俺の体を使うんじゃない……!)
主導権を取り返そうと抵抗する。
そのとき、何かが粉々に砕ける感覚がした。主導権を握っていた何かは忽然と消え、主導権は自分に戻ってきた。だが、命を削られ続けた結果、『死』が目の前に迫っている。
その場にくずれ、咳込む。多量の血液が自分の倒れた周りに広がっていった。