小さな参謀あらわるっ!!
銀色の髪の毛に透き通るような白い肌。
人形のように端整な顔立ちに宝石が嵌め込まれたように輝く碧眼に目を奪われない者はいないだろう。
「せんせーいっ、無理っ、近づけないでっ!!」
「ちょっと、琅くんっ!!この子達どうしたのっ」
「歩いてたらついてきたのーっ」
だが、ふぇぇぇっと力無く泣き出す彼の元には大なり小なりの動物が群がっていた。
彼事態がパンダをモチーフとしたパーカーを着ているせいかある意味ファンシーな光景である。
「せんせっ、助けてー」
犬、猫はもちろんのことどこから来たのか猿やハムスターだっている。
小学校職員が保健所に通報したのだが、保健所の到着もまだだった。
「ラウーっ、そんぐらい自力でなんとかしろーっ」
「カルちゃん無理だよーっ」
「...ラウ、待ってて」
騒ぐだけ騒いで助ける気ゼロな少女を尻目に顔立ちだけは物凄い綺麗なのに存在感がまったく感じられない少年は動物を避けながらあっという間に琅の元へ駆け寄った。
「リッキー、さっすがぁ!!動物もまったく気づいてなかったよー」
「カル、うるさいよ。少しは黙りなよ。」
無表情のまま琅を動物の輪からひっぱりだすと動物たちは辺りをキョロキョロと見回し首を傾げるばかりだった。
「先生、琅はもう大丈夫だよ。」
「えっ、力都くんいつからいたのっ!?」
「...最初から。」
「あはは、リッキー影薄いから動物にも気づかれなかったんだよねー!!」
「カルっ、本気で怒るよっ」
「もー、怒ってんじゃん!!」
ギャーギャーと騒ぐ二人に小学校職員たちは目を見張るばかりだった。
確かにいままで目の前にいたのは動物に囲まれた少年とそれを楽しげに応援する少女の二人だけだったはずなのにだ。
何処から一人増えたんだとみんな動物と同じように一様に首を傾げていた。
「せんせい、ぼくのせいでごめんなさい。」
「いやっ、いいのよ!!怪我はない?」
「うん、へいきっ」
ヘラっと笑う琅にまあ、いいかと次々と先生が離れていく。
今日は新学期で下校時間がかなり早いため、三人で校庭で遊んでいたところいまの騒ぎだ。
琅はかなり申し訳なさそうに肩をすくめた。