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落選の先にあった景色

掲載日:2026/02/04


私は去年一年、公募にチャレンジした。

その間、出したものは三本。

いずれも10~12万文字完結の女性向け異世界ファンタジー。

結果待ちもあるのが、今の状態である。



その中で一本、二次選考に残ったものがあった。

「わたくし、売られた妻ですので」だ。

細かく描写するのは割愛するが、「売られた妻」は二次選考(残り10本)の中には残ったものの、その先へ行くことができなかった。



その時の感情は、筆にしがたいものがあった。



喜びや希望を全て真っ黒に塗られたような。

ただただ「駄目だった」「おまえじゃない」の現実を突きつけられて、二次に上がれなかった時よりよっぽどしんどかった。




そこから私は、しばらく、行き場を探した。

自分に合うレーベルはあるのかとか、この作品を受け入れてくれそうな・相性のよさそうな場所はあるのかとか。

そこで行っているコンテストとか公募とか。

調べて、聞いて、情報を集めて、そしてわたしが取った手段は……




動画だった。



公募じゃ待ち時間が長すぎる。

運命はあっちが握ってる。

そんな、選ばれるのを待ってたら人生が終わる。

少なくとも、その時の私にはそう感じられたのだ。




そんな思いに駆られた私は、そのままの勢いでソフトを調べた。

AI読み上げソフトをDLし、自分の文章の読み上げ音声を作るまでほんの一時間。

あっという間にのめりこんだ。



落選して一週間後の出来事だった。



動画制作なんて経験のない私、しつこいぐらいAIに聞いて教えてもらい、なんとか10分超えの動画一本(一話分)を作り上げたのは、DLして二週間後のことだ。



正直えぐいほどの作業量だった。



チャンネル名・アイコン・本文調節・音の確認・演じてもらうキャラボイスの選定・セリフのイントネーション調整・AIボイスとの格闘・合成と字幕と声の兼ね合い……




数時間作業して、1分の動画一本しかできないなんてザラ。

まじで「これ、小説書く方が早い」と思った。

(なにやってんだろ)と何度も思った。




けれど、私にはそれがあっていた。



他人に人生を預け、託し、選ばれるのを待つ人生より


誰も見なくても、誰にも相手にされなくても、たとえ閲覧数0でも、自分で手を動かし、自分でイラストをつけ、自分のできる精一杯で世界を演出する方が数千倍、楽しく有意義な時間だった。




想像してみてほしいのだ。

PCの中で、「文字だけの世界」がみるみる「声とイラストで彩る世界」になっていくんだ。ソシャゲのストーリー画面のように、再生してるだけでストーリーが流れていく。


想像力の補助として、雰囲気と音声で伝えられることがある。

演出できる!

なんて素晴らしい!

わたしは、そう、これ! これがしたかった!



……と、のめりこんで半年。

六本のストックができたので、ゆっくりじっくり、私は自分の物語を、動画にして発信していくことにした。




とてもドキドキする。

きっと誰にも見てもらえないし、相手にもされないだろう。

AIに反対の作家さんには叩かれるだろう。

でも、でもね。



私には、これがあっていた。

これが最高だった。

公募・商業化という夢に続く道は横に置いて、私はひっそり物語を動画にして積み上げていく方が、自分には向いていたのだ。



私は、これで積んでいく。

落選の物語をそのままにしない。

文字だとちょっと重いから。

動く画と声で、物語を広げていくと決めた。






チャンネル名は、「聞き流しファンタジーちゃんねる」。

聞き流してくれていいんだ。

耳の寂しさを埋めるのに使ってくれたらそれでいい。


愛情は込めるから。

だから、画面の向こう側で、出会ってくれた人は、ただ、聞き流してくれ。

そんな思いで、今日も私はPCに向かう。



最高の趣味を見つけた。

そんな気持ちでいっぱいだ。


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