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早瀬湊の日常  作者: 彩心


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4/7

膝枕

 俺が風呂から上がってリビングに行くと、要がコーラを飲みながらソファーでくつろいでいた。


 「あんたも飲む?」と言って、愛子さんは冷蔵庫からコーラの缶を取り出した。


 「いる!」


 俺は愛子さんからコーラを受け取ると「ありがとう」とお礼を言って、要の横に座った。


 「傷口手当てしたのか?」


 「あ? 何もしてねーよ。痛いじゃん」


 「放置してるのも痛くないか?」


 「うーん……ま、大丈夫」


 「風呂場であんなにギャーギャー言ってたのに?」


 「泡はみるだろ!」


 そう必死に要が俺に訴えて来た所で「ただいまー」と朝陽の声が聞こえた。


 すぐリビングに入って来た朝陽は「悪い、待たせたな」と俺達に謝ってきた。


 「いいよ。大事な話だったろ?」


 朝陽は一瞬キッチンに居る愛子さんの方を見てから「まぁ……」と答えた。


 せっかく朝陽がにごしたのに「どーせ告白だろ」と要が面白くなさそうに言った。


 「ちょっ、お前言うなよ! 母さんにバレたら面倒なんだから!」


 慌てて朝陽は要を止めてるけど、もう遅いだろ。


 「なーにが面倒なのかしらー?」


 ほら、キッチンから愛子さんが叫んでる。


 「いや、何でもない!」


 朝陽は必死に叫んでるけど、愛子さん来ちゃったよ。


 「何? 朝陽また告白されたの?」


 「いいじゃん、そういうのは……」


 「まぁーお父さんがカッコイイから、朝陽がモテるのも当然ね。お父さん、カッコイイから」


 「もーいいって、父さんの惚気のろけは。友達の前でまでやめてくれよ、恥ずかしい」


 「恥ずかしいって何よ。本当の事言ってるだけでしょ」


 「それが惚気なんだよ!」


 まーた始まったよ。


 要なんてコーラに夢中で聞いてもいないし。


 「はいはい、私が悪かったです。朝陽、あんたも先に風呂入ってきなさい。湊達はもう入ったよ」


 「本当だ。早いな」


 「要が汚れて帰ってきたからね」


 「要、また喧嘩か?」


 「おう! なんかごちゃごちゃうるさかったからな」


 「一瞬で寝かしつけてた」


 「そうそう、うるさいから寝かしてやった」


 「……程々にしとけよ。じゃ、俺も汗かいたし、先にお風呂入ってくる」


 「おう! 朝陽が風呂から上がったら皆んなでアイス食おうぜ!」


 「いつものスイカバー買っといた」

 

 「ありがとな。すぐ風呂入ってくる!」 


 そう言って朝陽は慌てて風呂場に向かった。


  愛子さんはそれを見送ると、俺達の方を向いて「あんた達、晩御飯どうする?」と聞いてきた。


 「「食べたい!」」


 2人同時に返事をすると「りょーかい。あんた達ほんと仲良いね」とクスクス笑いながら、愛子さんはキッチンに戻って行った。


 俺は要の脇腹わきばらひじで小突いて「かぶせてくんなよ」と言うと「お前がな」と言ってきた。


 「うるせっ」


 「お前がな」


 今は何を言っても「お前がな」と返ってきそうなので、俺は話を切り上げコーラの缶を開けた。


 要は缶をテーブルの上に置くと、テレビのリモコンを手に取った。


 テレビをつけると、動画配信サイトで何かを探し始めた。


 「何探してるんだ?」


 「内緒」


 「……まさか、ホラーじゃないだろうな?」


 「……内緒」


 そう言いながら真剣に画面を見つめる要。


 俺は嫌な予感がして、一緒に画面を見つめる。


 「なぁ、ジャンルがホラーだけど?」


 「気のせいじゃね?」


 「気のせいな訳あるか!」


 「大丈夫! 今探してるのは怖くない!」

 

 「ほんとかよ……」


 「ほんとほんと……あれ? 前見た時はこの辺にあったんだけどなー」


 そう言いながら要は画面を下にスクロールしていく。


 「あれ? どこいった? もぉーめんどいし、この辺でもいいけどな」


 「やめろ! 貸せ! 俺が決める!」


 俺は要から強引にリモコンを奪い取った。


 「えぇー、お前が選んだら絶対アクション系になるじゃん」


 「今日こそはアクション系の日だ」


 「ま、多数決で朝陽に決めてもらおうぜ」


 「それやったら、確実にホラーになるだろ……」


 「ふはっ、知らね」


 要は笑って俺の膝に頭を乗せて、ソファーに寝転がった。


 「今日は朝陽の気分がアクション系かもしれないだろ?」


 ニコニコと笑って俺を見上げている要。


 この笑顔、絶対悪い事考えてるだろ。


 「はぁー、もういいよ。その代わり軽めにしてくれ」


 「……まぁ、善処ぜんしょします」


 「何だよその間は」


 「別に何も」


 そう言って要は目を閉じた。


 「何だよ。寝るなよ」


 「いや、ゴツゴツしてて寝心地悪いなと思って」


 「せっかく膝貸してやってんのに、文句言うなよ!」


 


 

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