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早瀬湊の日常  作者: 彩心


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3/7

お風呂

 朝陽の家に着いてインターホンを押すと、朝陽のお母さん 愛子さんがドアを開けてくれた。


 「いらっしゃーい。って、要! あんた何でそんなに服が汚れてんの!」


 「愛子さん聞いてくれ! この間教えてもらったドロップキックが綺麗に決まったんだ!」


 「また喧嘩したの?」


 「おう! 圧勝よ圧勝!」


 「私が教えたんだから当たり前でしょ。それより要は先に風呂に入んなさい」


 「はーい」


 要はそう返事をしながら、藤真家のお風呂に向かった。


 「愛子さん、朝陽と要のアイス溶けるから冷凍庫入れてもいい?」


 「湊、あんたは汚れてないのね」


 「え? うん、俺は喧嘩してない。でも俺にも今度ドロップキック教えて!」


 「あぁー気分が乗ったらね。それより、あんたも一緒に風呂入って来なさい。汗かいたでしょ? アイスは私が冷凍庫に入れとくから」


 「えぇー要と一緒に入ると、うるさいんだよな」


 「いいからまとめて入ってきな」


 愛子さんの有無を言わせない圧力に俺はくっした。


 「分かったよ」


 俺は愛子さんにアイスを預けて、俺も風呂場に向かった。


 服を脱いでカゴに入れて置くと、いつも愛子さんが洗濯してくれる。


 なんか第二の家みたいだ。


 愛子さんの事を昔「朝陽のおばちゃん」と呼んだら「愛子さんって呼びなさい!」と言われてから、ずっと愛子さん呼びだ。

 

 あの時は何で?って思ったけど、今なら分かる。


 愛子さんまだ若いから「おばちゃん」呼びが嫌だったんだろうなって。


 昔を思い出して笑っていると、要が風呂のドアを少し開いてこっちを見ていた。


 「思い出し笑いとかキモーい」


 「うるせー。覗いてんな!」


 「湊来たら遊ぼうと思って待ってんだよ」


 「待つな! さっさと洗え!」


 「はいはい。でも、手擦りむいてて痛ぇんだよな」


 そう言って要は上目遣いで俺を見てくる。

 

 「全然可愛くないから無理」


 「えぇー、シャンプー絶対しみるじゃん!」


 「知らね」


 「そんな事言わずにさー。お願い!」


 「もー分かったから、そこ座れよ」


 「やったー! お願いします!」


 要はそう言うと俊敏しゅんびんな動きで風呂の椅子に座った。


 俺は要の頭を美容師気分で洗ってやった。


 「かゆい所ないか?」


 「あー背中が痒いです」


 ふざける要の背中をバチンと叩いた。


 「いってぇーー」


 「背中が痒いらしいからな、叩いといた」


 「ひでぇー」


 「ハハハ。ほら、後は自分でしろよ! 男の体なんて洗いたくねー」


 「えー……ま、そうだな。体は自分で洗うわ」


 「そうして。俺も頭洗お」

  

 「いてぇーやっぱ泡しみる……」


 「どこで怪我したんだよ」


 「ドロップキックした後、着地した時だと思う……」


 「自業自得じゃん」


 「はぁー普通にやれば良かった」


 要は傷が痛いのか、今日は風呂で暴れずに洗い終わるとすぐに風呂場から出て行った。


 「擦り傷って地味に痛いよな……」




 

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