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早瀬湊の日常  作者: 彩心


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1/7

アイス

 「おい、朝陽あさひみなと帰ろーぜ!」


 ホームルームが終わった途端に、かなめが嬉しそうに俺達の所に来た。


 「お前鞄は?」


 「あ? 今日は手ぶらだけど。逆に鞄っているか?」


 「いるだろ! 今日宿題でてたし、教科書とノートと問題集が!」


 「そうだっけ? まぁ、別にいいや。おい、朝陽起きろよ。帰るぞー」


 別にいいやってお前……。


 俺が呆れている横で、当の本人は寝てる朝陽を一生懸命起こしている。


 「ん? 終わった?」


 そう言って、俺の後ろの席に座っていた朝陽は欠伸あくびをしながら起き上がった。


 「藤真とうま君欠伸してる。可愛い」と女子達がヒソヒソしてる声が聞こえた。


 いいな、朝陽は。


 欠伸しただけで女子から「可愛い」とか言われて。


 俺の幼馴染みの朝陽はイケメンだ。

 

 黙って立っているだけで鬼モテる。


 それなのに本人は無自覚で、鈍感。


 面倒くさがり屋なのに勉強もできるし、スポーツも万能。


 そこまでのスペックがあるなら、いっそ性格悪くあれよって思うけど、良い奴なんだよ朝陽って。


 なんだよ。


 物語の主人公かよって言いたくなる。


 言わないけど。


 「ん? 俺の顔そんなにじっと見てどうした?」


 「……別に」


 俺はそう言って前を向き直し、帰る支度をする。


 「何だ湊、嫉妬か?」


 俺の机に手をついて、ニヤニヤと笑いながらそう言ってくる要。


 コイツは分かってて言っている。


 要とは中学に入ってから仲良くなった。


 普段は騒がしくて、全てにおいて雑なのに、人の機微きびには何故かするどい。


 アホだけど……。


 それなのに、コイツもそこそこモテるんだよな。


 何故だ……何故なんだ!?


 何でアホなコイツはモテて、俺は全くモテないんだ!


 「まーた、しょーもない事考えてるよ」


 要がやれやれってジェスチャーつきで言ってくるのが、最高にうざい。


 「要、湊で遊んでないで帰ろうぜ」


 「おう!」


 要って、朝陽の事好きだよな。


 帰ろうぜって言われただけで、尻尾振ってる大型犬に見える。


 「今日も朝陽の家遊びに行っていい?」


 「別にいいけど、今日は何する?」


 「この前気になったホラー映画観たい」


 「要が気になったって事はグロそうだな。湊観れるかな?」


 「大丈夫、大丈夫。観れる、観れる。な、湊?」


 「え?」


  急に話を振られたけど、教科書とかノートとかを鞄に詰めていたため、話半分で聞いていて、何を聞かれたのか分からない。


 だから聞き返したのに、要は「大丈夫みたいだ」と勝手に返事をした。


 それが分かっている朝陽は、心配そうにこっちを見ていたが、要に何か耳元でささやかれると、肩を揺らして笑い出した。


 「何だよ」


 「いや、別に。それより早く朝陽の家行こーぜ!」


 「いや、絶対なんか企んでるだろ!」


 「なぁー朝陽。帰りコンビニ行かね? アイス食べたい」


 「おい! 無視すんな!」


 「おーうるせー、うるせー。なぁー、湊はアイス何食べたい?」

 

 「え? うーん……見てから決める」


 「俺も見てから決める派。朝陽はアレだろ? いつものやつ」


 「うん、いつもので良い。結局アレが一番美味しい」


 「ハハハ、朝陽が他の種類食べてるの見た事ねーよ」


 「そう? 他のも食べたりするよ」


 「確かに。朝陽が他のアイス食べてるの見た事ないかも」


 「だそうだ、朝陽君。お前の幼馴染みが言ってるなら、そうだろ」


 「そうかな? そう言われるとそうかも」


 「だろ? さっ、早くアイス買いに行こ!」


 そう言って要は朝陽の背中を押した。


 俺達の頭の中はすっかりアイスになっていたのに「藤真君!」と呼ぶ声が聞こえた。


 声の方を振り向けば、女子2人が扉の所に立っていた。


 あぁー、これは告白パターンかな。


 「何? どうしたの?」


 ……朝陽はまったく気づいてないな。


 何回も同じ様な事起こってるのに、何で気付かないんだろう。


 きっと、頭の中が俺と同じでアイスになってるからかな?


 あー、要の機嫌悪くなってるよ。


 めっちゃ女子をにらんでるじゃん。


 要は予定狂わされるの嫌いだもんな……。


 「藤真君、ちょっと話たい事があるんだけど良いかな?」


 要の睨みを気にせず言ったー!


 この女子すげーな。


 「今じゃなきゃダメ? 明日とか」


 「今! 今聞いてほしい!」


 必死な女子とうーんと悩む朝陽。

 

 俺は勇気を出した女子を尊重して、助け舟をだす事にした。


 「朝陽聞いてやれよ。俺と要は愛子さんに言って先に家に行ってるから」


 「そう? ごめん、先に行って待ってて」


 「おう」と俺は返事をすると、まだ機嫌が悪い要を引っ張って教室を先に出た。


 「俺達の方が先に約束してたのに、割り込んでくんなよな」


 「そんな事言うなよ。あの子、相当勇気出して朝陽に声かけたんだから」


 「でもよー」


 「アイス買ってやるから」


 「本当か!?」


 さっきまでの不機嫌はどこに行ったのか、要は目をキラキラさせてこちらを見てきた。


 「しゃーなしな」


 「高いのもあり?」


 「……200円までなら」


 「よしっ! 早くコンビニ行こ!」


 すっかり機嫌が良くなった要と2人でコンビニに向かった。


 



 


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