第2章『未完成の息』 第2節 残るもの
未完成のまま朽ちた街。男もまた静かに歩を進める
この街はもう死んでいるのか、、?
街の奥へ進むにつれて、
建設途中の建物は次第に形を失い、
鉄骨とガラスの残骸だけが陽を反射していた。
風が吹くたび、どこかで金属が軋み、
その音が青空の下に長く響く。
けれど街全体は静まり返っていた。
音は消え、時間だけが薄く流れていく。
男はひび割れた歩道を歩き、
ふと、ある一点に光が落ちているのを見た。
崩れかけた建物の隙間。
その先の、陽が差し込む場所から——
“音”が聞こえた。
かすかに、しかし確かに存在する音。
その響きに、男の足が止まる。
あの街でも、同じ音を聞いた。
暗闇の中で、無数の機械音に紛れていた、
あの“生きている音”だ。
陽の当たる場所に近づくと、
そこには、半ば土に埋もれた端末がひとつあった。
ひび割れた外殻の中で、
小さなコアが光を反射し、微かな振動を繰り返している。
男はそれを拾い上げた。
手の中で伝わる震えは、まるで心臓の鼓動のようだ。
だが画面には何も映らない。
ただ、風の流れに合わせるように、
かすかな“息”のリズムだけが続いていた。
男は目を閉じ、その音に耳を澄ます。
遠い記憶のどこかで、
同じ音を聞いた気がした。
光が彼の頬を照らし、
壊れた街の中に、
ほんの一瞬だけ“生きている”という感覚が広がった。
第2節 残るもの
最後まで読んでいただきありがとうございました
荒廃した世界に確かに存在する『音』。
彼は見つけた音に生を見出す。未完成の街ここで彼が感じるものとは、、次回第3節にて第2章 ラストとなります!




