第2章『未完成の息』第1節 止まった昼
動き出した物語
確かに存在する音を見つけた男が進む先には何がある?
さぁ、見える景色 聴こえる音その全てを受け止めて
風が吹いていた。 空にはいくつかの雲が浮かび、 その影がゆっくりと地面を横切っていく。
だがその動きはあまりに鈍く、 まるで空も街も、呼吸をためらっているようだった。
ネオンの街の喧騒もその中にある静寂も、もはや一片さえも感じられない。 ただ荒れた道が続いている。
次の街が見えた。静かにその姿が近くなる。
建設途中の高層ビル群。 外壁はまだ鉄骨のままで、 風が通り抜けるたび、金属が鈍い音を響かせる。 舗装の途切れた道路には、 コンクリート片と錆びた工具が散らばっていた。
男は一歩ずつ進む。 足元には乾いた埃が舞い、 遠くで風が古びた看板を揺らしている。 その看板には、かつて描かれた笑顔の家族の姿。 色は褪せ、表面は剥がれ落ち、 それでもどこかで光を反射していた。
風がビルの隙間を抜け、 崩れかけた建設用の幕をはためかせる。 その音がまるで街の心臓の鼓動のように思えた。 だがそれも一瞬で、 再び世界は静けさに包まれる。
男は立ち止まり、 空を見上げた。
雲は、そこにあった。 さっきと同じ形で、同じ位置で、 まるで時間の流れを拒むように留まり続けている。
——時間は、ここで止まっている。
その瞬間、彼の胸の奥で、 何かが小さく鳴った気がした。 風か、それとも心臓か。 わからない。 ただ確かに、“まだ息がある”と感じた。
始まりました第2章『未完成の息』
ネオンの街を後にした男がたどり着いたのは、静かに佇む未完成のまま朽ちた街。
ここには、いったい何があるのか?皆様心ゆくまでお楽しみください。




