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第二十二話 プレイヤーキラーとの戦い

「あのユウという少年は危険すぎる。何故かマリウスは彼を評価しているようだが……。あの子はいずれこのゲームを破滅に導くかもしれない。早めに手を打たなければ……」


 管理区画の中で、レインが思い詰めたような表情をしている。


「あまり乗り気ではないが、プレイヤーキラーのブラットを使うか……。それならば、マリウスに文句を言われることもないだろう」


 ユウを危険視しているレインは、彼にプレイヤーキラーを差し向けて、敗北させることにした。


 ◇◇◇


 ピンポーン。


 ユウの部屋にチャイムが鳴り響く。


 ユウが部屋のドアを開けると、全身黒ずくめの男が立っていた。がっちりとした大男で、鋭い視線でユウを見据えている。


「──その様子だと、ボクに何か用がありそうだね?」


「へへへ、俺はブラット。運営様が、お前を倒せってさあ。水無月ユウ、今から俺と勝負してもらうぜ」


「なるほど。運営からの刺客ってわけか。いいだろう。その勝負、受けて立つよ」


 ユウと黒ずくめの男は宿泊区画を出て、広場へと移動した。


「ここなら、思う存分戦えるなあ。さあ、デュエルを始めようぜ」


「ああ」


 ユウとプレイヤーキラーのブラットとのバトルが始まる。その様子を伺っていたレインがジャッジメントシステムを起動した。


『ブラットは地雷系のトラップカードを多用する地雷デッキの使い手。ユウが強力なカードを手に入れていたとしても、勝てる相手ではないわ』


 レインが二人の様子を眺めながらほくそ笑む。


 スタンバイフェーズにブラットはフィールドにたくさんのカードを裏向き表示でセットする。


(カードを大量に展開した? しかも伏せた状態で?)


 しかし、ブラットは伏せたカードを使用しないため、裏向き表示のままでフィールドにカードが残っている。


(何かが変だ。おそらく、こちらが攻撃を仕掛けるのを待っているのか? 何とか処理したいけど……)


 嫌な予感のするユウはブラットに手を出さないでいる。


「どうした? 攻撃しないと俺には勝てないぜ?」


 ブラットがニヤニヤしながらユウを挑発する。


「わかっている。なら、これでどうだ!」


 ユウはフィールド上に伏せておいたマジックカードを表向き表示にする。


「マジックカード『光の祝福』をカウント9で発動」


 ◆マジックカード【光の祝福】

 スピード:9 ウエイト:1

 効果:このカードが存在する限り、フィールド上の裏向き表示のカードは全て表向き表示に変更される【永続効果】。

 属性:光


「ふふ、俺の伏せカードを確認しようってか。だが、俺も簡単に手の内を明かすわけにはいかないのでねえ。『神の警告』を即時発動させてもらう」


 ◆サポートカード【神の警告】

 スピード:1 ウエイト:10

 効果:このカードは相手がマジックカードが発動した時に【即時発動】できる。相手の使用したマジックカードの効果を打ち消して、無効にする。


 ブラットは神の警告のサポートカードでこの効果を無効にする。


「ボクのマジックカードを無効化された!」


 次のターンのスタンバイフェーズ、ユウはアーケインギア・スティンガーを展開するが、やはり嫌な予感がよぎり、ブラットの伏せたキャラクターカードを攻撃をすることができない。


「はは、さっきも言ったが、そうやって見てるだけじゃあ、試合には勝てねえぜ! それなら、俺が無理やり攻撃させてやるよ!」


 ◆サポートカード【マリオネットの糸】

 スピード:1 ウエイト:1

 効果:フィールド上のキャラクターカード1体を指定する。そのカードのスピードとウエイトを無視して、このカードの使用者の指定する行動を取らせることができる。この効果はすでに行動を終えたカードにも適用される。


 ブラットはマリオネットの糸というサポートカードでアーケインギア・スティンガーを強制的に操り攻撃させる。


 アーケインギア・スティンガーが相手フィールドに伏せてあるキャラクターカードを攻撃した瞬間、ブラットは地雷原のサポートカードを発動する。


 ◆サポートカード【地雷原】

 スピード:1 ウエイト:10

 効果:このカードは相手キャラクターが攻撃をした時に即時発動できる。その攻撃を無効にして、攻撃をしたキャラクターを破壊し墓地へと送る。


 アーケインギア・スティンガーは地雷の爆発によって倒されて、墓地へと送られてしまった。


「やはりトラップを仕込んでいたか! アーケインギア・スティンガー、すまない。この埋め合わせは必ずするからね!」


 ブラットがフィールドに展開した、攻撃を受けたり破壊されると逆に相手を攻撃したり、破壊するカードたちにユウは苦戦している。


 しかし、ユウが次のスタンバイフェーズに妖精の女王ヴェラを展開すると、状況が一変した。


 ◆キャラクターカード【妖精の女王ヴェラ】

 HP:360 スピード:6 ウエイト:2

 パッシブスキル:突風

 このカードがフィールドに展開されたターンのカウントダウンフェーズ開始時に、相手フィールド上に存在する全てのカードを相手の手札に戻す。

 アクティブスキル:誘惑の芳香

 次のターンのカウントダウンフェーズ終了時まで、相手キャラクター1体を行動不能にする。

 属性:風


「ヴェラ、僕に力を貸してくれ!」

 

 ヴェラがフィールドに展開されたことで、カウントダウンフェーズ開始時に突風のスキルのバウンス効果が発動する。


「ちっ、とんでもねえバウンスカードを持っていやがった。そんなの使われたら、俺の戦術が台無しになって、困るんだよ!」


 カードを全て手札に戻されると困るブラットはたまらず効果を無効にするサポートカードを即時発動させる。


 ◆マジックカード【魔力の防護壁】

 スピード:3 ウエイト:8

 効果:このカードは手札からカードを1枚墓地に捨てることで【即時発動】できる。キャラクター1体のスキルの効果を打ち消して、無効にする。

 属性:闇


「カード効果を無効にできるのは、君だけじゃないよ!」


 魔力の防護壁の効果をユウは魔力吸収のサポートカードで更に無効にする。


 ◆サポートカード【魔力吸収】

 スピード:2 ウエイト:5

 効果:このカードは相手がマジックカードを使用した時に、手札からカードを1枚墓地に捨てることで【即時発動】できる。相手の使用したマジックカードの効果を打ち消して、無効にする。


「くっ、俺のマジックカードを無効化しやがった!」


「まだだ、これで終わりじゃないよ! カウント10でサポートカード、痛み分けを発動!」


 ◆サポートカード【痛み分け】

 スピード:10 ウエイト:5

 効果:自分と相手は手札を全て墓地に捨てる。


「クソッ! 今手札を失ったら俺は……」


「そう、ボクの勝ちだ!」


 手札を全て失ったブラットはユウに対抗する手段が無くなってしまう。ユウはフィールドに展開していたキャラクターカードでブラットを直接攻撃する。


「ありえない! この俺が、こんなガキに……」


 次のターン、有効なカードを展開できなかったブラットは、ユウの展開したキャラクターたちの直接攻撃を防げずに、敗北した。


「ジャッジメントメントシステムが動いているってことは、これは公式戦と同じ扱いだよね? それなら、アンティルールで、君のデッキからカードを一枚もらうよ」


 ユウはブラットから、『マリオネットの糸』のカードを受け取った。


「俺を倒したからといって、いい気になるなよ! お前はすでに、運営側に目をつけられているんだからなあ!」


 ブラットが悔しそうにユウを睨んでいる。


「……関係ないね。ボクの邪魔をするのなら、倒すだけさ。例え運営だろうとね」

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