第十六話 深淵の地下迷宮の探索
深淵の地下迷宮は地下深くへと続いているダンジョン。
未だに攻略者はおらず、どこまで続いているのかもわかっていない。
ここは、地下都市ゲルニアの最下層に広がる「亀裂」から入ることができる。
「深淵の地下迷宮は特徴はね、強力な結界により、侵入者の能力や魔法の威力が制限されるの。だから、うまく立ち回らないと、あっという間に全滅してしまうわ」
第一階層に入るユウとアシュリー。
アシュリーが第一階層の説明を始める。
「このダンジョンの第一階層は『嘆きの回廊』と呼ばれているの。長い石の回廊が続く迷路となっていて、探索した冒険者の話だと、歩いても歩いても同じ場所に戻ってしまうらしいわ。多分、正しいルートを通らないと、特定の場所に戻されるようになっているんだと思う」
「なるほど。まさに『迷宮』なんだね」
ユウがうなづく。
「そうなの。それに、さっきも話したけど、結界でこちらの力が制限されているから、普通に敵と戦うだけでも大変だよ。状態異常を積極的に敵に与えて行動を妨害していかないとキツいと思う」
「まるで、ボクたちの目指すコントロールデッキの戦い方みたいだね」
「敵に普段どおりの行動をさせないっていう点ではそうね。ダンジョンの奥に行くことを優先するなら、敵に感知されないように、なるべく音を立てずに身を隠しながら進むっていうのも有りね。ここはユウの第六感が役に立つわ」
「そうだね。どれだけ長いかわからないし、なるべく戦闘は避けて先へ進もう」
二人はなるべくモンスターを回避しながら慎重にダンジョンを進んでいく。どうしても回避できない敵には、アシュリーがスリープやバインドの状態異常の魔法をかけることで、有利に戦うことができた。
「ここのモンスターに状態異常が効いてよかったわ。私たちの能力が制限されているから、まともに戦っていたら消耗してしまうから」
「アシュリーのおかげだよ。本当にありがとう」
「ふふ、褒めてくれてありがとう。どんどん先に進みましょう」
「そうだね。次はこっちに進もう。それが正解な気がするんだ」
迷宮の中にいる二人。しかし、ユウが直感で正しいルートを探り当てる。ユウたちは石の回廊を進みながら、レアアイテムを手に入れたり、強力なモンスターをカードに封印していく。
そして、二人は地下へと続く階段のある広間へと到達した。
「第一階層だけでも探索できればと思っていたけど、まさか第二階層の入口まで行けるとは思わなかったわ。本当にユウの勘って鋭いのね」
「でも、今回は第一階層で引き返そう。ダンジョン攻略に熱中しすぎて、試合に間に合わなくなったら困るからね」
【ユウ様のスキルをもとにサポートカードが作成されました】
ブランクカードが輝き、【直感】のサポートカードが作成された。
◆サポートカード【直感】
スピード:1 ウエイト:5
効果:このカードは手札からカードを1枚墓地に送ることで【即時発動】できる。プレイヤー自身を対象とするキャラクターカード・マジックカード・サポートカードの攻撃、スキル、効果を一度だけ無効にできる。
「ふふ、カードが作成されたのね。直感かあ。まさにユウにピッタリなカードだね」
「ありがとう。こうやって自分のスキルからカードが精製されるのもなかなか面白いよ」
「さて、あの階段の前にいるのが第一階層のボスだけど、戦うんでしょ?」
「もちろん。そのためにここに来たんだからね」
広間の奥で第一階層のボスが佇んでいる。機械仕掛けの大型のサソリのようなモンスターだ。
「こいつは古代文明が作り出したサソリ型の機械兵器らしい。強敵らしいから気をつけましょう」
「なるほど。サソリ型のゴーレムみたいなものだね」
アシュリーが右手を突き出し、炎の球を飛ばして魔法攻撃するが、敵にぶつかる瞬間、魔法がかき消されてしまう。
「こいつ、魔法を無効化できるの!?」
サソリの機械人形が鋭い尾の先でアシュリーを狙う。アシュリーはこの攻撃に反応するが、能力が制限されているからか、回避しきれずに腕を切り裂かれてしまう。
「ぐぅっ!」
アシュリーの右腕から血が吹き出す。
「アシュリー、大丈夫?」
ユウが素早くアシュリーに近づき、回復魔法をかけた。
「回復してくれてありがとう。攻撃には反応できたのに、身体がついていかなかった……。もう少し反応が遅かったら、腕を持っていかれてたわ」
「今、ボクたちの能力は制限されているからね。今回はライザとキリアも解放して、全員で戦おう」
「私もその方がいいと思う。みんなで戦いましょう」
 




