第36話 田虎討伐
勅令である為に逆らう事は出来ず、皆それぞれ思うところはあるが、田虎討伐に異論は無かった。戦の1番の被害者は民であり、田虎を討伐すれば支配地域に住む民を救う事になると言うのが1番の理由だ。
「だけど、田虎討伐だけで済むのかしら?」
俺は梁山泊が田虎を討伐した後、王慶と方臘の討伐を次々と命じられる未来を知っている。だからそれとなく、ぶっ込んで皆の反応を確かめて見た。
「田虎は蜀漢の傘下に入ったと言うから、その田虎を討つと言う事は、蜀漢を敵に回すと言う事になる。どの道、避けては通れない道だ」
林冲は冷静に判断して言った。
「そうなると結局は、田虎の後に王慶や方臘も討伐しろと、勅書が届くかも知れないわね?」
「なぁに、そうなったら、そうなった時さ。姉貴は大宗師なのに心配性だな?」
史進が、大宗師なら怖いもの知らずだろう?何をそんなに慎重になってるんだ?と不思議な顔をした。
「姉貴って何なの?」
「楊兄貴の姉様なら、姉貴だろ?俺も姉貴って呼ばせてもらう事にしたよ」
史進が徳利に口を付けて、グビグビと酒を飲んで言った。魯智深も「はっはぁ、それは良い。儂もそう呼ぶとしよう」と言い出して、更に林冲までが俺を姉貴と呼び出した。
気の良い連中で、言葉に嫌味が無い。皆んなでワイワイと囲んで酒を飲むのが楽しいと思えたのは、本当に久しぶりだ。忘年会や新年会では、上司の顔色に伺いを立てながら酒を飲むので、こうはいかない。同窓会で久しぶりにあった友人達と、羽目を外して酒に酔った時くらいの楽しさがある。
周りを見渡すと、梁山泊の中でも自然と派閥と言うか、グループが出来ているのが分かる。俺も良くいるここは、魯智深のグループだ。魯智深は林冲がまだ八十万禁軍教頭(師範)であった時に知り合い、義兄弟の契りを結んだ。魯智深が義兄で林冲が義弟だ。魯智深の山寨にいた楊志と武松も当然このグループにおり、魯智深は史進とも義兄弟である為に史進もこのグループにいる事が多い。
関勝のグループには、義弟の郝思文と宣贊、魏定国と単廷珪が良く一緒にいる。その他では呼延灼のグループに元部下であった韓滔と彭玘、それから凌振と索超も加わって飲んでいる。
首領の宋江は、呉用と公孫勝に花栄、元同僚であった朱仝と雷横、劉唐と阮小三兄弟と良く一緒にいる。
副首領である盧俊義は、側を離れない燕青と、柴進や李応らと良く飲んでいる。
と、まぁこの様な感じで、皆んないつも大体グループになって飲んでいる。良い感じにほろ酔いとなり、俺は山田と寝室に向かった。
当然、寝室ではやる事は1つだ。女を知った山田は、毎晩の様に身体を求めて来る。付き合い始めたばかりなので、盛りの付いた猿の様にHをする。俺はと言うと、男に抱かれる事はもう何とも思わなくて、断然女の身体の方がHは気持ちが良いので、山田に性欲を満たしてもらってる感じだ。
中身が男の俺の処女を奪ったのは、徽宗皇帝だ。皇帝が相手なので、断れば殺されると言う恐怖で最初こそ大人しく抱かれた。口淫させられた時は、男が男のモノを口に入れて舐めるなんて考えられ無かったが、それも拒めば殺されるかも知れないと言う恐怖の方が上で、震えながら咥えた。
そんな事も100日も経てば、いつの間にかに嫌では無くなっていた。見た目16歳の今の俺からすれば、徽宗皇帝はお爺ちゃんくらいの年齢だ。しかしそれも、不思議と気にはならなくなった。なぜなら、得られる快楽で感覚が麻痺していたからだ。
部屋には常に媚香が焚かれて性欲が昂揚し、抱かれる前には必ず媚薬を飲まされて感度を高められていたからだ。だから徽宗皇帝に初めて抱かれた時は、何度も失神するほどイカされた。
お爺ちゃんに抱かれるよりはイケメンの方が良い。燕青に求められた時、抵抗する事なく抱かれた。女性慣れしているから、何と言うか上手かった。
李逵は荒々しかったが、男の価値はアレの大きさだと昔、母が下品な話をしているのを耳にした事がある。なるほど李逵に抱かれて初めて、男のモノが大きいほど女性は気持ちが良いと言う事を、身をもって体験した。
子宮の入口までゴツゴツと突かれる度に、全身が痺れる様な快楽に襲われる。膣がキュンキュンと締まり、脳髄まで稲妻が走る様な感覚が来ると、呼吸が止まるかと思うほど手足を硬直させて足の指先まで痙攣させて強張った後、全身が脱力する。何も考えられなくなるほど気持ちが良く、1度絶頂に達してイクと何度でも直ぐに絶頂に達する様になり、何度もイク。まるでパチンコで、FEVERが続いてる気分だ。
李逵の様な野獣に犯されるのは当然嫌だったが、Hでは数え切れないほどイカされた。荒々しく犯される様に抱かれながら、自分にこんなMっ気があったんだと思い知らされた。だから李逵に抱かれるのは、実はそんなに嫌では無かった。
北の大宗師・山田実は、童貞で初めての相手が俺だったので、毎晩の様に身体を求めて来るが、Hは嫌では無いし、俺も毎晩やりたいので断ったりしない。山田は童貞だったので、俺が初めてどころか複数人と経験がある事にショックを受けていた。
まぁ、気持ちも分からなくも無い。俺も男だったのだ。好きな女性が、自分以外の男性と性行為をした事があると言うのは、面白い話ではない。自分が抱いている時の反応で、前の男に抱かれている時も、こんな風に喘いだりしたのかな?と考え無ければ良い事も頭によぎってしまう。
つまりは嫉妬だ。好きだから、愛しているからこその嫉妬だ。愛している女性には、他の男に指一本触れさせたくは無い。
それなのに指一本どころか、Hしているのだ。激しい嫉妬で考えれば考えるほど、胸が締め付けられて来る。
山田はやり場の無い嫉妬を、俺にぶつけて来る。魯智深達とも楽しそうに酒を飲んでいるのも嫌みたいで、その輪には加わらずイライラしながら俺が戻って来るのを待っている。だから戻るなり、怒鳴り散らして来る。俺が他の誰かに、奪われるのでは無いかと恐れているのだ。不安を掻き消す為に、怒鳴り散らして来るのだ。
だがそれは逆効果だ。常に怒鳴られ、暴力を振るう相手を愛せる訳が無い。一緒にいて楽しい訳が無い。それは愛では無く支配なのだ。彼女は籠の中の鳥では無いのだ。
俺も男だったし、童貞だったから気持ちは良く分かる。経験者の彼女は、自分以外の男性とも経験がある。だから自分以外の男性にも目が移りやすいと思い込んで恐れている。自分から心が離れる事を恐れているのだ。心が離れる事を恐れているのなら、籠の中の鳥は逆効果だと知るべきだ。余計に心が離れてしまう。それよりも優しく気遣ってあげるべきだ。
少なくとも今一緒にいると言う事は、愛されていると言う事だ。過去の男性達と別れたと言う事は、その男性達には嫌な所があったと言う事だ。優しく気遣ってあげる事で過去の男性達と比較して、今の彼氏の方が数倍一緒にいて楽しいし、幸せだと感じれば自ずと離れて行ったりはしない。
全てを狂わせるのは、「嫉妬」と「猜疑心」なのだ。だから俺は、山田の嫉妬を、不安を少しでも軽くしてあげる為に、甘えて「愛してるのは貴方だけよ」と耳元で囁く様にしている。
嫉妬でイライラしていた山田は、直ぐに機嫌が良くなって来る。男とは実に単純な生き物なのだ。そのままの流れで性行為に及ぶ。だからほぼ毎晩の様に、山田とHしていた。
嫉妬されて、こっちにはその気も無いのに浮気を疑われて、喧嘩をするのも疲れるのだ。林冲たちとは何も無いから安心してね?と言うパフォーマンスをしてあげるのも、彼女として俺の気遣いも大切だと思っている。
出征中だと言うのに顧大嫂や俺などの痴話喧嘩も絶えず、呉軍師から次に揉めたら水寨に帰れと怒られた。
田虎は威勝州に本拠地を構え、汾陽州、昭徳州、晋寧州、蓋州の5つの州を占領していた。梁山泊軍は、蓋州まで10日の距離に迫っていた。




