第19話 遼vs.梁山泊 第4戦目①
宴に参加した俺は、久しぶりのご馳走に箸が止まらなかった。中国人(古代の)は、子供の頃から酒を水代わりの様に飲む。お茶は高級品で、茶葉を使った物を飲めるのは主に貴族階級の人間か豪商くらいな者であり、庶民は草をお茶代わりに煎じて飲む。
だからお酒の度数は日本のものよりも高い傾向にあり、白酒や黄米などから造られる黄酒がある。黄酒の中でも、紹興酒や老酒が有名だ。
その違いは、娘が生まれると紹興酒を造り、その嫁入りの祝酒として飲むのが一般的なのだが、紹興酒を50~60年も寝かされた物を特に老酒と呼ぶ。
その味は、まろやかで口当たりも良く豊かな風味持つが、アルコール度数は紹興酒で60~65度、老酒なら70度以上にもなるアルコール度数の高いお酒だ。中国ではこれに砂糖漬けの梅干しを入れて、梅酒として飲むのが好まれている。
甘く口当たりが良いので飲みやすいのだが、アルコール度数が高い為に2杯も飲むと視界が歪んで見えた。
「大丈夫か?飲み過ぎは良くないぞ」
そう言いながら隣に座って介抱してくれたのは、燕青だった。
「うわぁ、あんた良い男ねぇ。皇上は、おじさんだったからなぁ」
自分でも何を言っているか分からず、頭に浮かんだままを喋っていた。皿に乗った牛肉を、指先でつまんで口に入れた。
「う~ん、美味しい。幸せ…むにゃ、むにゃ…」
「何だ?もう寝ちゃったか?」
俺は燕青に抱きかかえられて、寝室に運ばれた。ふわふわと揺れる感覚が眠気を誘い、意識も混濁していた。燕青にベッドに寝かされると、首に腕を回して口付けをした。
「こんな美女に誘われて、止められる訳がない」
俺が我に返った時には、燕青が上に乗って激しく腰を突いていた。
「うんぁ!あぁっ、んっ。はぁ、はぁ、イっ…イっちゃう。イク、イク、イク、イク、イっちゃう!はあぁん!」
俺は転生前は男だった。残念ながら童貞のまま死んでしまったので、女性を抱いた事が無いので自慰行為で慰めていた。男性と女性の快楽を知る俺だから断言するが、Hの時の気持ち良さは女性の方が遥かに上だ。
そうで無ければHの時に女性が、気持ち良過ぎて喘いだりなんてしない。男性は自慰行為やHをしながら喘いだりなんてしないからだ。
事実、何でも研究してしまうアメリカでは、数百組にも及ぶカップルに脳波を確認する装置を付けたまま性行為をさせ、男性が脳で快楽物質の数値が上がったのは射精する瞬間であり、その基準に対して女性は高揚する段階で既に男性の7倍近い快楽物質を放出し、達成時には最大で100倍近い数値を出した者もいた。(絶頂に達して意識を失うほどの快感を得た女性)
だからHは、女性の方が気持ち良いと証明されているのだ。古代中国では、女性は家に籠っているものであり、外には出ないのが通常であった。洗脳とも呼べる教育で倫理観を植え付けていたのだが、これは女性が外に出れば人妻であっても、他の男性と性行為をしてしまう事を恐れていたからだ。嫉妬深く、自分の妻を家の中で囲っていたのだ。
徽宗皇帝はおじさんだった。男は美女が好き。女だってイケメンが好きだ。おじさんに抱かれるよりは、イケメンに抱かれたいし、若い男の方がタフで何度も求めてくれるから、何度も絶頂を堪能出来る。
あれから何度イカされたか覚えていないが目が覚めると、燕青が俺の顔を見て髪を撫でていた。
「起こしてしまったか?」
「ううん。良く寝てたみたい」
ふわぁ~あ、と欠伸をして起き上がった。全裸である事に気が付いて、布団で胸を隠して恥じらいを見せた。燕青はクスリと笑って、着替えるまで見ない様にしてくれていた。
「花娘子、好きだ。もう俺達は付き合っているんだろう?」
「あっ、えっと、その…はい。宜しくお願いします」
燕青は嬉しそうに俺を抱き寄せると、朝食前の稽古に出掛けた。俺は顔を洗って身支度を整え、昨日の出来事を思い出して顔が火照って来た。
「はあ~ぁ。やっちゃったわ…。皇上よりも気持ち良かった。彼の方が大きかったし、大きさでこんなに違うものなんだ」
何を口走っているのだろう。誰かに聞かれたらどうする?と我に返って、先程よりも一層に顔が熱くなった。部屋に戻ろうとして、背後から羽交締めにされた。
「ひゃあ、何!?」
「昨日は燕青の奴とお楽しみだったか?今度は俺と楽しもうぜ」
軽々と抱えられ、ベッドに押し倒されて分かった。その相手は李逵だった。
「こんな美女と、たまらねぇな」
左手で肩を押さえられると、身動きが出来ない程の怪力だった。
「うんあっ!?や、止めて!んっ…」
右の中指を躊躇いも無く秘部に挿入され、一定のリズムを刻んで膣内を掻き回された。
「ああ!や、止め…んっ!はぁ、はぁ、はぁ…イヤ。イっちゃう…んんっ!イっちゃう、イっちゃう。ごめんなさい、ごめ…んっあぁ!!」
絶頂を迎えて足の指先までピンと張って痙攣する様に身体が固まり、その後脱力した。イカされてしまい、燕青に申し訳ない気持ちでいると、李逵が挿入しようとしている事に気が付いた。
「だ、ダメ!そんな大きいの挿入らないから!!うっ、痛い!痛い!止め、止めて!」
バタバタと手足を動かして抵抗した。
「無駄だ無駄だ。大人しくしな。痛ぇのは最初だけだって。直ぐに気持ち良くなるからよ。お前さんも、挿入れられるの期待してるだろう?」
「期待なんて…ああっ!!」
燕青よりも一回りは太く長いそれは、突かれる度に膣を押し上げた。それは今まで感じた事が無いほどの快楽だった。一突きされる度に絶頂を迎え、だらしなく涎を垂らして快がっている事にも気が付かなかった。
「ふへへへ、そんなに気持ち良いか?自分から腰を振ってる事にも気付いて無いだろう?」
俺は、気持ち良過ぎて意識が飛んでいた。確か俺は燕青と付き合うって言ったよね?とか、彼への申し訳なさとかも頭の中から消え失せて、何かもうどうでも良いから好きにしてと、諦めなのか快楽をもっと味わいたいのか自分でも良く分からない感情のまま、李逵が満足するまで犯され続けた。
李逵は6度目の射精を遠慮なく膣内に出すと満足して、俺を放置したまま部屋から出て行った。
「マジ最低…」
やり捨てられた気持ちになったのと、冷静さが戻って来て燕青に対して申し訳ない気持ちになり、泣けて来た。朝食に来ない俺を心配した燕青が、部屋に入って来ようと外から声を掛けて来たので断ったが、涙声だったので許可なく推し通って来た。
「花娘子!何があった!?」
一目見て強姦されたと分かる状況だ。言い訳のしようも無く、正直に李逵に犯されたと白状した。燕青は激怒し、匕首を握り締めて出て行った。
李逵は朝から酒を飲み、肉を食らって兄弟達と談話していた。そこへ血相を変えた燕青が現れた。その手には匕首が握られ、様子がおかしいので仲間達は皆集まって来た。
「やい、李逵!テメェが何をしたか!そこに直れ!叩っ斬ってやる!!」
「兄弟の俺を斬るたぁ、穏やかじゃねえな燕青。お前さんだけ楽しむ何てズルいだろう?俺も楽しませてもらおうと思っただけよ」
「花娘子はな、この俺が初めて本気で惚れた相手なんだ。俺達は付き合う事になった。それをお前はぁ!」
「何でぃ、そんな事か?そんな事で、兄弟の俺を殺そうってか?お前さんも散々人妻や人の女を抱いて来たろう?これでようやくあんたも他人の気持ちが分かるってもんさ」
李逵は悪びれもせずに、事も無げに言って見せた。この男はいつも頭のネジが何処か飛んでいる。およそ道徳とか倫理観などと言うものから、程遠い場所にいた。
「おのれ!」
匕首を振り上げた手を掴まれて、「誰だ!?」と見れば盧俊義であった。
「落ち着け燕青、一体何があった?」
燕青は悔し涙を流して訴えた。そこへ宋江や呉用も現れて、バツの悪い俺も何となくその場に居た。宋江は燕青に謝罪し、李逵にも燕青と俺に謝らせて牢に入れた。
「申し訳ない事をした。李逵には必ず償わせるから、今は許して欲しい」
本件と関係の無い、首領である宋江から李逵の代わりに謝罪されると、それ以上は何も言えなかった。
俺は俺で、抵抗を諦めたのも悪いし、確か強姦罪は警察から気持ち良かったか?などと根掘り葉掘り聞かれて、気持ち良かったと言ってしまうと、同意があったとされて立証が難しくなるとか聞いた事がある。気持ち良かったのは確かだし、そうなると李逵を責めるのも無体な気もする。
ただこうなってしまったからには、燕青に対して後ろめたさと、心苦しさが相まって付き合う事は出来ないと思った。
「ごめんなさい。やっぱり、気持ちには応えられない」
燕青からは「李逵との事は悪夢だったと思って、忘れる努力をするから別れるとか言わないでくれ」と懇願された。だけど俺は、「忘れる努力をすると言っても決して忘れる事は出来ないし、何かあった時にそれを口に出されて口撃される理由となるのが嫌だ」と言って断った。
燕青に抱き締められて号泣され、彼が悪い訳では無いのにと、申し訳ない気持ちで一杯になった。
この件の後、宋首領から沢山のお詫びの品を頂いたが、「財宝を貰ってもなぁ」と思いつつも、いつの時代でも結局お金で解決しようとするんだな?と思った。
とまぁ色々あったが、いよいよ遼国の副都・燕京に進軍する事になった。燕京は、首都・上京臨潢府から遷都の噂もあった大都市である。ここを陥されると、遼国もいよいよ滅亡に追い込まれる為、抵抗も激しく激戦が予想された。
「報!(報告!)幽州を陥とした梁山泊軍が、燕京へ向けて進軍中です」
「遂に来おったか!遼国存亡の危機なるぞ。都統軍よ、お主に全ての軍権を与える!必ずや梁山泊軍を討って参れ」
「ははぁ。都統軍・兀顔光、慎んでお受け致します。必ずや梁山泊軍を殲滅し、ご期待に添えて見せます。万が一にも破れる様な事があれば、この命で償う所存です」
兀顔光は遼国第一の将ではあるが、皇族では無い為にどうしても皇族達には頭が上がらなかった。しかしこの度は、皇族を含めた全ての将兵を手足の如く扱える権限を得た。
十一曜の大将と二十八宿の将軍を率いる事で完成する太乙混天象の陣は、未だかつて破られた事の無い不敗の陣形だ。将兵達を天上の星々に重ねて配置する、変幻自在の陣であり、万が一にも不覚を取る事など無いだろう。
「父上!父上!」
「延寿か。軍に於いては、父も子も無いといつも言っておるであろう?都統軍と呼べ!」
息子だからと言って贔屓をしていては、他の将軍達に示しがつかない。それで無くとも政敵は多く、4度目にしてようやく出陣が叶った。
自分が手柄を立てる事が面白く無い人間の仕業だ。そいつが誰なのか判っているが、天祚帝の信任が厚い為に諫言しようものなら、自分は立ち所に排除されてしまう恐れがある。
罪が無ければ作れば良いのだ。自分みたいに権謀術数に疎く素直な者は、簡単に足元を掬われて陥れられる事だろう。自分だけが冤罪で処刑されるのであればまだ良い。だがその為に、家族までもが巻き込まれてしまうのは避けたい。
「申し訳御座いません、ち…都統軍。お願いがあって参りました。先鋒は某にお任せ下さい!万が一にも敗れようものなら、首を斬られてもお恨み致しませぬ」
兀顔光は目を閉じて考え込んでいたが、「その意気や良し!」と言って先鋒を命じた。




