異世界行っても、俺YOEEE...
《あらすじ》
自殺した陰キャ引きこもりニートの楓月旭(24)がまさかの異世界転移!?
魔力もない、体力もない、筋力も、精神力も、特別な能力もない⋯⋯
そんな自堕落なニートが異世界で無双したり、奮闘したりする話。
真夜中。マンション群が凹凸となって不気味である。
目に掛かっていた前髪が、風に揺られてよく見えた。
「くだらない人生だったな……」
下に目をやると、駐車場にある車体やマンションを囲む生け垣があんなちっぽけに見えた。
「もし来世があったら、異世界に転生したいな。
無双して、称賛されて、恋愛して、結婚して……」
そんな馬鹿な妄想をして、少しだけ気が晴れた。
ぎゅっと掴んでいた手すりを離し、体を前へ傾ける。
風と重力を感じる。
途中から深海に潜るみたいだった。
地面から光を感じる。不思議と痛みは全く感じ無かった。
過去のくだらない記憶を泳ぐ。
ようやく意識が途切れてくれた。