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第五話 憎しみの刃と紅蓮の炎

ブレイクは驚いたがすぐに状況を理解した。

オガラが全身刃物人間だということを。

そして彼が特別な人だということ。


「なるほどな……お前『悪魔の呪い』を受けたな」


服をパンパンと掃いながらオガラに尋ねる。

オガラは腕を元に戻しニッと笑う。


「そうだよ僕は『悪魔の呪い』を受けた呪人さ」


悪魔の呪い……それは身籠った母親に悪魔が乗り移り胎児に呪いをかけられることだ。

悪魔の呪いを受けた子供は普通の人間ではなくオガラのように全身刃物になったりする。

これは本人にとって得なことだ。

だがリスクもある。

それは極端に寿命が短かったり、子供を作れなかったりといろいろあるらしい。

そして何より本人が普通の人ではなくなるということだ。

その為避けられたりいじめれたりする。

そのストレスが爆発し能力を使い町を一つ消すなどの事件も発生した。

おそらくオガラも町で非難されたのだろう。

そんな考えを見透かされたのかオガラが話し出す。


「僕も昔は普通の人だと思ってた。だけどある日町に鬼がやって来たんだ。桃太郎に憧れてた僕は鬼を退治しようと鬼に向かって行った」

「そこで能力が目覚めたのか」

「そうだよ。退治しに行ったは良いが敵うはずがない。鬼が止めを刺そうとして金棒を振り下ろしてきて僕は腕を上げて身を守ろうとした」

「だが腕は切れていなくて鬼が斬れていたわけか」

「僕は桃太郎になった気分だったよ。町の皆に感謝されると思ってた。だけど……あいつらは!!」


オガラの表情が険しくなっていく。

憎悪で満ち溢れた悪の顔に。

オガラはまた腕を刃に変えブレイクに向かって行く。


「僕を恐れて石を投げつけたり刃物を投げたり……ウザかったよ。 だから鬼たちと一緒に殺してやったんだよ!! こんな風にね!!」


オガラは言い終わる前に腕を振り下ろしていた。

ブレイクはとっさに剣で受け止めるが押されてしまう。

その憎しみの刃に。

ブレイクの剣は絶望と憎悪に満ち溢れたオガラの腕にじりじりと押されている。

絶望と憎悪の気が溢れてオガラの力を増しているようだった。

だがその表情はどこか悲しげであった。


「く……何てパワーだ」

「僕の憎しみがこんな風にしてるのさ。君には分かるかい? 僕の憎しみが!!」


力を増して腕を振りぬきブレイクの剣を弾き飛ばした。

そしてブレイクに近づき腕を首元に置いた。

少し皮膚が切れて血が出ている。


「はあ、はあ……終わりだね。刃狼牙!!」


オガラの腕は牙に変わりブレイクの首を斬り裂く。


「がああああああああ!!」


激痛が走り悲鳴が洞窟内に響く。

そしてその場に倒れ込む。

だが倒れ込んでいたのはブレイクではなくオガラだった。


「な、なにをしたんだ……?」

「お前と一緒だ。俺もちょっとした特別な力を持ってるんだ」


そういうブレイクの体は炎に包まれている。

その炎は全てを燃やし尽くすような紅蓮の炎だった。


「俺はこの不死鳥の灯火の力を得て全身炎人間になったんだ」

「『悪魔の呪い』じゃないの?」

「違うな。これは世界に存在する『天使の涙』って言う秘宝だ」


ブレイクは弾かれた剣を拾いに行きオガラをギロリと睨む。

オガラの憎しみの気も殺気で掻き消された。

ブレイクの炎は先程よりもさらに強く燃えている。

まるで心の奥底から燃えるように。



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