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第四話 赤眼の少年と犬と猿と雉

ブレイクとピーチは依頼を受けオーガマウンテンに向かっている。

山を登って行くと道のいたるところに動物の死骸や人が倒れている。

その光景に若干寒気がしたがそのまま山を登った。


「鬼退治とはよく言ったもんだな。 辺り一面死骸だらけだぜ」

「そうだね~鬼って強いのかな?」

「強いだろ。 ここの鬼にやられた冒険者も多い」

「ふーん」

「ふーんって……」


ピーチは思い出したように袋からある物を取りだした。


「なんだそれ?」

「きび団子だよ。 さっき町長さんから貰ったんだ~」

「へえじゃあ犬と猿と雉が仲間になるな」

「ふーん誰が桃太郎なの?」

「そりゃあお前……グフ!」


ブレイクはみぞおちを思いっきり殴られうずくまっている。

ピーチはその握り拳をほどかずブレイクを見下ろした。

そんなこんなであっという間に頂上に着いた。

そこにはいかにもという感じの洞窟があった。

途中で犬たちには会わなかったがとりあえず中に入り鬼退治をすることにした。

中は薄暗かったが周りは見えるくらいでとても広い。


「なんか鬼が出そうだね」

「出るんだよ!!」


すると洞窟の奥から大きな鬼が三体出てきた。

その大きさは洞窟の天井程あり、カイたちとは比べ物にならないくらいだった。

鬼は大きな金棒を担ぎながらブレイクたちに近づいてくる。

ブレイクとピーチは剣を抜き構えるが遅かった。

鬼はその巨体に似合わぬ速さで一気に間合いを詰め金棒で二人を薙ぎ払う。

壁に吹っ飛ばされ、その衝撃で周りの壁がへこんでいる。


「キビ……ダンゴクレ、キビダンゴ」


鬼はピーチの袋からきび団子を取りだして食べ始める。

その様子はまるであの童話の犬たちのようであった。


「おいおいお前たちは……」


突然声がして奥から男が出てきた。

しかもあの童話の主人公桃太郎の恰好をして。

男が手を上げると鬼たちは瞬時に男の後ろに整列した。

それは鬼なのだがやはり桃太郎のお供の犬たちに見えてしかたない。

男はブレイクたちに近づいてくる。


「僕の名前はオガラ。 どうだい僕のお供の金棒の味は」

「へどが出るな」

「そう、どうでもいいけど彼らの名前知りたい?」


ブレイクはどうでもいいと言おうとしたがすでにオガラは口を開いていた。


「左から鬼犬、鬼猿、鬼雉だよ」

「桃太郎じゃねえか」

「うんあの本好きだからね。 ところで君たち何か金目のもの持ってる?」


ブレイクとピーチが首を横に振ると男はあっそと戻って行った。


「鬼犬、僕は奥で寝てるからあいつら始末しといて」

「ワカッタ、オガラ」


オガラは奥に戻り、鬼たちが金棒をぶんぶん振り回しながら近づいてくる。

二人はよろけながら武器を取り身構える。


「キビダンゴモットクレ」


鬼は金棒を大きく振りまわしブレイクたちに迫って来た。

鬼犬が大きな金棒を振り下ろす。

その巨体にものを言わせてブンブン振り回す。

その激しい攻撃をブレイクとピーチはぎりぎりで避ける。


「クソ! なんてパワーだ」

「でも隙が大きいね」


するとピーチは鬼犬の下に潜り込み岩を土台にして高くジャンプした。

ピーチは鬼犬の手の辺りまで飛ぶと剣を力強く振りぬく。


「いくよ……居合・八重桜」


鬼犬の左手は切断され花びらに変わり、桜の花びらのように宙を美しく舞った。

鬼犬はその場に倒れ切断された部位を押さえている。


「やっぱすげえなその技」

「じゃあブレイク奥に行ったあの男を追ってよ」

「え……でもお前ひとりじゃ」

「僕は今一人で暴れたいんだ!」


ピーチはブレイクを見つめて自分の意思の強さを伝えた。

まるであれは僕の獲物だよとでも言うような目だった。

それにブレイクも気圧されたのか分かったと言って奥に進んだ。

鬼猿が待てと追いかけるがピーチが足を斬り止める。


「おいおい、君たちは僕の獲物だよ」


ピーチは笑いながら剣を鬼たちに突き立てた。


「オマエジャマ、キライドケ」


まだダメージを受けていない鬼雉がピーチに金棒を振る。

それにピーチは吹っ飛ばされた。

壁に当たった衝撃音が洞窟内に響き渡る。


「カカカ、シンダシンダ」


鬼たちはピーチが死んだと思い奥に行こうとする。

だが先程までは感じられなかったとてつもない殺気を感じ振り向く。

そこには吹っ飛ばされたピーチが立っていた。

だが先程までとは違い殺気が強い。

そして左目の眼帯がはずれていて赤眼が見えていた。

右目はいつもの穏やかな青色に対して左目は血のように真っ赤でまるで何人も殺してきたような強い殺気を放っていた。


「よくも吹っ飛ばしてくれたね。 まあいいや 久しぶりに美味そうな血が吸えるから左目が喜んでるよ」


その殺気に鬼たちは畏怖の念を感じた。

鬼たちは必死に逃げようと奥へ奥へ急ぐ。

だがピーチは不敵に笑いながら鬼たちに斬りかかる。


「待てよ僕の獲物! 今殺してやるから……赤眼・鬼殺し!!」


ピーチが剣を振り下ろすと斬撃が飛び鬼たちは真っ二つになった。

そこから溢れる血にピーチは満面の笑みを浮かべた。


「美味そうな血……」


ブレイクは鬼たちをピーチに任せて洞窟の奥へ向かっている。

奥に入って行ったオガラを追うために。

しかしこの洞窟は長い。

もう十分は走っただろう。

だがオガラは一向に見えてこない。

そのまま走り続けると大きな広間に出た。

入口と同じくらい広い。

その中心でオガラは椅子に座りながらきび団子を食べていた。


「はあ……はあ、やっと見つけたぜ」


ブレイクは手を膝につけながら息を切らしてオガラを見る。


「ふーん来ちゃったの。 あれ、もう一人は?」

「鬼たちを任せてある……」

「ふーんじゃあ死んだね」

「あいつはやられねえよ」


ブレイクの言うとおり鬼たちは惨殺されているとは知らずオガラは微笑んでいる。

そして最後のきび団子を食べ指についた粉を舌で舐めながら歩いてくる。

ブレイクは剣を抜き斬りかかる準備をする。


「へえやるの? じゃあ少しは楽しませてよね!」

「お前がな!!」


ブレイクは言い終わる前に体が動いていた。

勢いよく飛びかかり剣を振る。

オガラはふっと腕を上に構える。

ブレイクはもらったと笑みを浮かべる。

ブシュと言う音とともにオガラの腕は地面に落ちる。

はずだったのだが違った。

オガラの腕は刃に変わっていてブレイクの剣を受け止めていた。

そのまま腕を振り驚いたブレイクを壁に吹っ飛ばした。

口を開けて驚いているブレイクにオガラは言った。


「言い忘れてたけど僕は全身刃物人間なんだ」


オガラはニッと微笑んだ。



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