第三話 鬼退治? いやいや僕の仕事じゃありません
ブレイクは一人目の仲間ピーチと草原から森を移動し、初めての町に到達した。
しかし町に人の姿はあまりなく、家のカーテンは全て閉められておりとても暗い。
ブレイクはどうしたのだろうと思い、町の入口にある立て札を見る。
するとそこには『オーガタウン』と書かれていた。
ブレイクはしまったという顔をしているがピーチは変な名前だな~と笑っている。
「おいおい、なんでこんなとこに来ちまったんだ」
「それはブレイクが森で迷うからいけないんだろ~」
そう、ブレイクたちはあの後草原から森を移動し道に迷ってここに着いたのだ。
「だ、誰だって道に迷うこともある。人生だってなあ」
「なに上手いこと言って逃げようとするの~」
「う……つまりだなあここは鬼の町って言われてるところなんだ」
「そんなところに冒険者資格持った奴が来るなよな~」
「しかたねえだろ来ちまったんだから!」
「まったく、冒険者資格持った奴が冒険して道に迷ったなんて冒険者が聞いてあきれるよ~」
「うるせえなあ!!」
ブレイクはピーチの頭を思いっきり叩いて黙らせようとする。
ピーチはそれを軽々と避けブレイクの頭をこつんと殴る。
それに若干キレたのかブレイクとピーチは取っ組み合いになってケンカし始めた。
「この~能無し冒険者め!!」
「うるせえ冒険者にもいろいろあんだよ」
しばらくケンカをしていると何かに当たった。
何かと思い、見てみると桃型の立て札だった。
「おいおい、何でお前がこんなとこに立ってるんだ?」
「何て書いてあるの?」
「えっ!? スルー? そこスルーですか?」
「めんどい」
ブレイクは上手くボケたつもりだったが全く相手にされなくていじけ始めた。
そんなブレイクを放っておいてピーチは立て札を読む。
「なになに……冒険者よ集え! 鬼を退治した者には褒美をとらす。詳しくは町長まで。だってブレイク」
「へえ、じゃ俺関係ねえわ」
「何で?」
「そりゃあお前鬼退治つったら桃……オグボッ!!」
ブレイクはみぞおちを思いっきり殴られ苦しんでいる。
「鬼退治? いやいや僕の仕事じゃありません」
「でも鬼つったら……いや何でもない」
ピーチは満面の笑みで拳を力一杯握りながらブレイクを見つめていた。
ブレイクとピーチは立て札に書かれていた町長の家へ向かう。
町長の家は町の中心部から少し離れたところにあり、他の家とは違いえらく立派な造りだった。
そのあまりの違いにブレイクは成金野郎がと小さく呟いてしまった。
ブレイクはとりあえずドアをノックする。
ドアが開き中から男が出てくる。
男はかなり大きくがっちりしていて目つきが悪かった。
男はブレイクをギロりと睨み口を動かす。
「……何の用だ」
その男の目つきと低く重い声にブレイクは少し怖じ気ずいた。
「え、えっと立て札を見て来たんですが……町長は?」
「何!? 立て札を見て……そうか、ならば中に入ってくれ」
ブレイクはビクビクしながら男に案内されて中に入る。
リビングまで来るとソファーに座り町長を待った。
しばらくして先程の男が紅茶をもってやって来てソファーに座った。
ブレイクは不思議に思い尋ねてみる。
「あの……町長は?」
「ん? 俺が町長だが」
ブレイクは飲んでいた紅茶を思わずピーチに吹きかけてしまった。
ピーチがばっちいとソファーの上で騒ぎだした。
「悪いなこんな顔してるから……最近はここに来る冒険者も少なくなってな」
「いえいえ……こちらこそ町長とは知らず、部屋も汚してしまって」
ブレイクとピーチは飛び散った紅茶を雑巾で拭き取り依頼内容を聞き始めた。
町長は軽く咳払いをして話し始める。
「立て札通りだ。鬼を退治してくれ」
「やっぱりピーチお前の仕事……痛っ」
ピーチが顔色一つ変えずブレイクの耳を思いっきりつねっている。
ピーチはそのまま町長の話を聞いた。
「この町の北にある山、オーガマウンテンにいる『鬼』を倒してくれないか」
町長の思いつめた顔にブレイクは強く胸を打たれた。
ブレイクはピーチと顔を見合わせて互いに意思を確認し合った。
ブレイクは勢いよく立ちあがり町長に依頼を引き受けることを伝える。
「そうかやってくれるか……じゃあ依頼料は十万Sだ」
「了解です。では行ってきます」
ブレイクとピーチは町長の家をあとにして鬼の棲む山へと向かった。




