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第4話 私なりに考える平治の乱の動機

 この辺りは、それこそ時の流れが激しすぎる気がして、私自身が悩みますが。

 

 1155年に後白河天皇が即位して、1156年に保元の乱が勃発します。

 そして、1158年に二条天皇が即位し、1159年に平治の乱が勃発するという激動の時代です。

 又、中継ぎの天皇に過ぎなかった後白河天皇(上皇)にしても、一度は権力を握った以上はその旨味が忘れられる訳が無く、同父母姉の統子内親王を1159年に上西門院にする等して、権力基盤を少しでも強化する行動を執っています。


 さて、こういった流れを見ていて、私なりに考えるのが、院政というのは「治天の君」が国の統治を行おうとする政治体制ということです。

 更に言えば、白河・鳥羽院政は共に「治天の君」が今上陛下の父若しくは父代わりとして国の統治を行ってきました。

 だからこそ、上皇とはいえ「治天の君」ではない崇徳上皇は、政治に関して権威も力も無い存在と言われても仕方のない存在だったのです。


 そういった事情を同時代に生きて眺めて来た二条天皇陛下にしてみれば、更に後白河上皇にしてみれば、後白河上皇が究極の方法ですが権力を握り続ける方法がありました。

 それは、後白河上皇が二条天皇を退位させて、後白河上皇の皇子(二条天皇からすれば弟)を天皇に即位させるという方法です。

 そうすれば、後白河上皇は二条天皇を退位させたということで自らの権威を増して、名実共に「治天の君」に相応しい立場に成れます。


 その一方で、二条天皇陛下にしてみれば、そのようなことが起きた場合、自らは崇徳上皇と同じく、無力な上皇としてずっと生きるしか無い立場に追いやられてしまい、下手をすると自らの子は良くて寺に入れられて法親王になるのが関の山、天皇に即位する等はアリエナイ事態になるのが、ミエミエになるとしか言いようがありませんでした。

(実際に崇徳上皇という実例を、二条天皇陛下は見せつけられているのです)


 こうした状況にあった二条天皇陛下が、実父とはいえ後白河上皇が信西と結託して、自らを退位させようとしていると知ったら、どう行動するでしょうか。

 

 更に史実に現れている二条天皇陛下の性格からして、このような状況になった際に実父の思い通りに動くいわゆる「良い子」とは、とても私には思えません。


 それこそ六条天皇陛下即位の経過一つにしても、二条天皇陛下はかなりの無理をしています。

 確かに六条天皇陛下は、二条天皇陛下の男児になりますが。

 生母は伊岐氏(その父の具体名には諸説ありますが、少なくとも弁官にもなれない低い身分だったのは間違いないようです)で、藤原氏や源平氏といった名家とは無縁の存在です。

 そういった皇子を天皇にしよう等、どう見ても無理があります。

 

 何しろ母方の実家が藤原公実(言うまでもない事ですが、清華家でも上位になる三条家や西園寺家の始祖)の末裔になる閑院流出身で、公実からすれば曾孫になる以仁王でさえも、母方祖父が大納言で薨去したとして親王宣下が認められなかったのに、生母の実家が藤原氏や源平氏で無い六条天皇陛下が、親王宣下を承けて皇位に就いている、といえば。

 どれ程、二条天皇陛下が無理を押し通したか、多くの方が推察できるのではないでしょうか。

(尚、二条天皇陛下にしても六条天皇陛下に譲位するために、六条天皇陛下を摂関家の藤原忠通の実子(養子説もあります)の中宮育子の養子にして、摂関家を後ろ盾にする等の対策を講じています)


 こうした六条天皇陛下即位の経緯を調べる程に、二条天皇陛下にしてみれば、後白河上皇が自らを退位させようとしているという噂を知っただけでも、過敏に反応して動くのではないか。

 と私には考えられてなりません。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  直近に起きた保元の乱に至る崇徳院の悲劇から後白河•二条親子が同じ奈落に自身が落ちぬために全力で互いに策謀を巡らせるのは大いに頷ける話(・Д・)つーか崇徳院の京から追い落とされる落魄っぷり…
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