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第1話 平治の乱の発端の三条殿襲撃に対する疑問

 私なりに平治の乱について、考えるところを書きました。

 そのために所々、話が飛ぶかもしれませんが、緩やかにご指摘、ご感想をお願いします。

 保元・平治の乱と一緒くたにされがちな平治の乱ですが。

 それこそ対立軸がそれなりに分かりやすく、又、乱の経緯もそれなり以上に明快な保元の乱に対し、平治の乱は今一つ対立軸も、乱の経緯も分かりにくい、と考えるのは私だけでしょうか。

 私の見る限り、それなりに歴史に詳しい人でも、何で平治の乱が起きて、最終的にはそのような流れになったのか、他人に筋道立てて説明できる人は少数派の気がします。


 そんなことを平治の乱を学校の授業で知って以来(?)、私は時折考えて来たのですが、最近になって平治の乱についての新説を桃崎有一郎氏が新書で発表しました。

 その説では、二条天皇が平治の乱を起こした黒幕となっていて、少なくとも私にしてみれば、完全に初耳の新説でした。

(他の歴史学者が発表していて既に知られていたのならば、本当に私の無知を恥じ入るばかりです)


 とはいえ、桃崎氏の説ですが、私の見る限りは所々に飛躍した論理が垣間見えており、そのまま受け入れるのにはどうにも躊躇いを覚えます。


 そうしたことから、私なりに平治の乱の起こりとされる三条殿襲撃から、疑問点等を私なりに考えていきたいと考えます。


 さて、平治の乱ですが、私なりの理解では通説的な地位を占める元木泰雄氏の説に基本的に依れば、この当時、最大の権力を握っていたといえる信西への反感が、藤原信頼と源義朝を乱に駆り立てた。

 信西と平清盛の仲は良好だったので、平清盛が熊野参詣に赴いて京を留守にし、信西を守る武力が欠けた隙を衝いて、藤原信頼と源義朝は乱を起こした、ということになります。


 更に信西への二人の反感の理由ですが、信西に対する個人的な怨恨が主な動機として挙げられます。

 例えば、藤原信頼は大将への昇進を信西に妨害された。

 源義朝は娘を信西の息子に嫁がせようとしたが、武士の娘は相応しくない、と信西に断られたその後、信西は別の息子の嫁に清盛の娘を公然と迎えて源義朝を辱めた。

 等の動機が挙げられています。


 更に源義朝の平家、平清盛の反感を挙げる学者もいます。

 かつて、武家の棟梁と言える地位にあったのは源義家で、その出身の河内源氏が勢力を誇っていましたが親族の争いによって徐々に零落していった一方、その間に平正盛から平忠盛、平清盛と三代に亘って勢力を拡大したのが伊勢平氏で、この当時には伊勢平氏が武家の棟梁といっても間違いない勢力を誇っていました。

 こうした現状に河内源氏の棟梁の源義朝は反感を覚えていたとも説かれるのです。


 確かに当時の史料等にもそういった主張があり、決して軽視できる代物ではありませんが。

 それにしても、という考えが私には浮かんでなりません。

 何故に藤原信頼と源義朝は、後白河上皇や上西門院が住まれている三条殿を襲撃するという暴挙を行ったのか。

 それこそ信西を排除したいのならば、単に藤原信頼や源義朝は闇討ちして信西を殺せばよいのではないでしょうか。


 結局は人を殺すことには変わりはないだろう、と言われそうですが。

 単に信西を殺すだけと後白河上皇らが住まれている三条殿を襲撃するのとでは、それこそ罪の重さが変わってきます。

 更に言えば、信西を闇討ちして実行犯を東国等に密やかに逃がしてしまえば、上手くいけば知らぬ存ぜぬで済む可能性さえあります。

 ですが、公然と後白河上皇らが住まれている三条殿の襲撃までしては。

 

 成功すればその配当は莫大なモノになるでしょうが、もし、上手くいかなかった場合、余りにリスクが高すぎる行動ではないでしょうか。

 更に藤原信頼や源義朝の動機が動機です。

 史実でもそうでしたが、大いなる反感を買い、平清盛らの反撃を受けて敗北する結果が見えて当然ではないでしょうか。

 ご感想等をお待ちしています。

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[良い点]  歴史考察スキーにはたまらない検証、特に平治の乱は“ごちゃつきようの解らなさ”と“その後の歴史で勝ち組になったモノから逆算”で面白い読み物である「平家物語」の枠組みを越えた解釈が人口に膾炙…
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