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甘じょっぱい話〜砂糖と塩の美味しい物語〜  作者: 地野千塩


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塩対応の隣人が甘いものをくれる

 かっこいいと言われるのに慣れていた。一時は俺のファンクラブも存在し、キャーキャー言われるぐらいだった。特に高校時代は俺の全盛期。告白は日常茶飯事、女の子同士が揉め、俺と目が合っただけで惚れるという都市伝説も流布されるぐらいだった。


「おお、今日の俺、イケメンだよな」


 大学生になった今も、フツーにモテる。正直、女の子には全く困っていないが、最近別れた彼女がメンヘラ化し、今のところフリー。


「まあ、自己肯定感高いって悪い事じゃないよな?」


 鏡に向かい、身支度を整えてた。これからゴミ出し、大学に通う予定だった。空は晴れ。風も心地いい。相変わらず俺はイケメンだし、ルンルン気分でゴミ出しした時だった。


「ちょっと、君。そのゴミ袋、ちゃんと縛って。あと、割り箸をそのままゴミ袋に入れるのやめよう。ゴミ袋が破けるわ」


 怒られた。隣のOLだ。たぶん三十代前半のOLだったが、メガネをかけ、いかにも堅物そう。


「おねえさん、ごめんね?」


 俺はイケメンだ。キラキラの笑顔で何とか誤魔化せると思ったが、OLには全く通用せず、ゴミの出し方を怒られた。


 その後も彼女はずっと塩対応。あいさつはするが、ゴミの捨て方などチクチクと文句を言ってくる。俺のイケメンっぷりも通用せず、なんだかモヤモヤ。普通、女だったら、俺の顔みて態度変えるよな?


 名前は鈴木祥子。名前まで地味。堅物な雰囲気にぴったりな名前だったが、実家から送られてきたクッキーが余った。というかクッキーなんて食べない。チョコレート味とか甘すぎる。


「鈴木さーん、お裾分けっす」


 あの塩対応の隣人にあげようと思った。会社から帰ってきたのか、すっぴんにボサボサ頭にメガネ姿だったが、クッキーを見て目がキラキラと輝く。


 意外。こんな笑顔もできるのか? 


 まるで甘い笑顔。


「私、甘いもん大好きなのよ! ありがとう!」


 遠慮なくバシバシと肩を叩かれたが、なぜか心臓が躍り始めたのは、なぜだ?


 面白い。いつも塩対応の隣人の甘い笑顔、悪くない。


 という事で俺は時々、甘いものを買っては隣人に差し入れするようになってしまった。差し入れというか、もはや餌付けか?


「ありがとう!」


 しかしこの笑顔は悪くない。普段、塩対応だから余計に面白い。


 俺の餌付け、もうしばらく続きそうだ。

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