表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
甘じょっぱい話〜砂糖と塩の美味しい物語〜  作者: 地野千塩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/23

マグネシウムが最高な理由

 ダイエット中は、人工甘味料を取れば良いと思っていた。糖質オフの食品を買って、適当にスチレッチでもすれば痩せると思っていた。


 しかし、なぜか全く痩せない。


 食欲旺盛になってくる。来年受験だというのに、ダイエットに悩んでいるなんて情け無いが、困っていた。


 そんなある日、クラスのモテ女・栗田茜が何を食べているかを観察してみた。茜は歳上の彼氏がいるらしい。その割には勉強をサボっている様子もなく、成績優秀。特に化粧も濃くないが、目も大きく、肌も真っ白だった。


 茜はペットボトルではなく、クリアボトル を使っているようだった。お陰で何を飲んでいるかは、わからない。


 ある日の放課後、偶然教室で二人きりになったので、聞いてみた。


「これ、塩水よ」

「は? 塩水?」


 信じられない。こんなピンク色の可愛いボトル に塩水? 茜の外見のイメージでは、ラテとかミルクティーとか甘ったるい飲み物を飲んでいるように見えたが。


「ただの塩はダメだよ。沖縄の天然塩の塩水。マグネシウムいっぱい入ってるから、甘いもん食べたくなった時飲むとピタッと食欲おさまる。あと頭痛とかにもいいよ」

「えー、ほんと?」

「もちろん食べ過ぎはダメ。こういう情報にすぐ飛びついて自分の身体も無視して具合悪くする人あるあるだから気をつけてね。断食も安易にやったらダメ。ま、でも塩は良いものって聖書にも書いてあるから」


 信じられなかった。塩分取りすぎは身体に悪くないか。むしろ天然塩は食えという。人工甘味料が余計に食欲増すから止めろと口酸っぱく言われ、それは辞める事にした。糖質オフの食品は、人工甘味料がどっさりと入っているようで「詐欺か、マッチポンプか!」と茜は珍しく感情を露わにしていた。


 あと、勉強中はローズマリーのハーブティーを飲むといいとか。覚醒作用と集中力アップの作用があり、朝飲むのも良いらしい。特に朝が鬱気味だったら、試してみてと熱弁。


 そこまで言われると、試したくなった。確かにシャキンと目覚め、勉強も集中出来るような。


 もしかしたら塩水も効果あるんだろうか。スーパーに売っている沖縄の塩を買い、適当に薄めて飲んでみた。まあ、美味しくは無いが。甘い物への欲求が抑えられていた。他にも風呂にマグネシウムを入れたら肌荒れが治りやすいというので試す。喉が痛い時はにがりでうがい。


 全部試してみたが、確かに悪くなかった。そういえば、私の死んだ婆ちゃんは肌荒れしたら海水浴に行けと言っていた。茜も婆ちゃんから健康と美容情報を得ているらしい。


「ね、マグネシウムって最高でしょ?」


 茜は無邪気に笑っていた。


 私が知らないだけで茜は、陰で努力しているようだった。朝早くから勉強やってるし、クラスの陰キャにも話しかけて孤立しないようにしていた。男子にも外見の良い者には、勉強や部活のことを褒めたり、逆に外見のコンプレックスがありそうな者にはさりげなく服や小物などのセンスを褒めていた。その人が喜ぶツボをよく観察しているようだった。モテる女のさしすせそ、なんていう小手先テクニックなども使っていない。


 そう思うと、人工甘味料と軽いストッチだけで痩せようとしていた自分は、甘かったのかも知れない。それに痩せている=美人という考えも短略的だった。


 私は塩っぱい水を飲みながら、再び茜を観察する。


「やっぱり、マグネシウムは最高よ!」


 そんな事を言いながら、茜も塩水を飲んでいた。私も前向きになってきた。


 ダイエットも勉強も何でも頑張ろう。努力が報われるとは言わないが、何もしない事を後悔したくはなかった。塩っぱい水を飲んでいるのに、なぜかほんのり甘く感じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ