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第55話
「……なるほど」
俺は独り言をつぶやく。今ある違和感、もしかしたらそれは、不可逆的な魔法をかけられた人だったと、心のどこかで気づいていたものなのではないか。そう考えればなんとなくではあるが説明がつきそうだ。
ほかにも読んでみると、これらの伝承が現れているのは、おおよそ国の混乱が落ち着いた後、国家平定の後しばらくしてからということにも気づく。定期的に表れては伝承として語り継がれていくだけの存在になり、また国が荒れるようになると再び頻度は減っていくということを繰り返しているようだ。
「ありがとうございました司書さん」
「いえ、またいらしてくださいね」
司書はまず本を片付け、すべての扉に鍵をかけた。そしてようやく扉を開けて俺と一緒に図書館から出た。そこまでしてここの本は守らないといけないほど貴重なものなのだということのようだ。




