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目覚めた公爵令嬢は、悪事を許しません  作者: トモブー
あなたを愛するのに疲れました
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帝国へ(フィアット家)4

慣れない場所と不安から、寝付けなくて外に出た。

残念ながら月は雲に隠れどんよりとした空に、湿気が肌を気持ち悪く纏っていた。

明日は雨かなあ。

ある程度の屋敷の見取り図を貰っていたし、差程広くにい敷地内のお陰で地図通り、馬屋にやってきた。

嘶きと草の香りが、気持ちを落ち着かせた。

ガルマ様が部屋から出た後、フィアット子爵様のご家族と一緒に夕食をしたが、とても楽しかった。

急な滞在の為、もてなしが不安だと何度も申し訳なさそうに言われだが、郷土料理をメインにした料理はとても美味しかった。

天候が良い国の為、海の魚は豊富でははない。つまり、温暖地域の海では魚が取れる種類が少ないのだ。

その魚を上手く干し、焼いてくれていた。

心がこもったもてなしと、一生懸命礼を尽くそうと言う気持ちが伝わり、その想いに私達はとても満足した。

だが、お疲れだろうと気を使ってくれ、早めに食事が終わらせ直ぐに部屋で寛ぐように薦めてくれた。

有難かった。

1人になりたかった。

夏の生暖かい風か体にまとわりつき、暑さの為頭がぼんやりととして働かなった。

それでも、1人になりほっとしたし、暑さと疲れのためにぼんやりとしたお陰で、今の状況を追い詰める自分がいなかった。

自分でも思う。気になる事は突き止め、追い詰め疲れてしまう、悪い癖だ。

だからこそ暗示にかかりやすく、また、それが洗脳だと周りも気づかなかったのだ。

フィーとカレンに出会えたお陰で、私は、己の創った狭い世界から、

外に出で、

殻に籠り足掻いていた己を知ることが出来た。

その1歩が、

全てを変えた。

全てを見せてくれた。

己の狭い世界と向き合い、己を気づかせてくれた。

とても、感謝している。

だから私は、私の気持ちに素直に生きたい。

がさりと足音が聞こえ、振り返ると、フィーが気まずそうにたっていた。

「フィー?」

「ごめん。邪魔したか?」

「ううん。寝れなくて外に出ただけよ。フィーも寝れなかったの?」

「・・・違う。ずっとスティングの部屋の前にいて、いつ扉を叩こうかと思っていたら、スティングが外に出てきたから後を追ったんだ」

「いつからいたの?結構前でしょう?」

苦笑いしながら私の前にやってきた。

「お見通しだな。夕食が終わってからだ」

「そんなに前から!?」

2時間はあるわ。

「かな?時間なんか見てない」

私の目を離さず近寄ると、手を握ってきた。

「フィー」

顔を上げ、優しく見つめる金色の瞳に自分が影のように揺らめいた。

「何?」

「お父様から、フィーの事を考えてあげて、と言われたわ」

「ヴェンツェル公爵様から?」

「うん。ずっと私の事をお父様に聞いていたんでしょ?」

「・・・聞いたのか?」

「うん」

繋ぐ手をより強く握り、頭をフィーの胸にもたれた。

「・・・そんなに前から想っているなんて知らなかった。私はずっと殿下のことばかりに夢中で、きっと嫌な女に見えたでしょう?」

「正直見ていていい気分はしなかった。俺ではない他の男の為だけに尽くし、それが報われないと分かっているのに、笑っている姿は結構辛かった」

「そう・・・ね。ずっと前から気づいていた。殿下の心にはいつもレインがいて、どんなに私が尽くしても」

最も側にいても、

「その心には届かない」

分かっていた。

触れる程に近くにいても、

寄り添える程に近くにいても、

まるで蜃気楼かのように手を差し伸べると、消えていく。

「それでも、私は愛していたわ。それが洗脳から作られた想いだったとしても、殿下に対する想いは確かに私の心にあったわ」

フィーの手が動揺するように震えた。

それが、殿下に対する怒りなのか、それとも私が愛していた、と言った言葉に対する戸惑いなのかは分からなかった。

握っている手をゆっくりと外し、私は腕をフィーの背中にまわし、抱きついた。

「フィー」

「・・・何?」

少し緊張気味の声で返事をしながら、私の背中に腕をまわし、抱きしめてくれた。

「これからはあなたに縋るわ。まだ、この気持ちが愛なのか、友情なのか分からない。でも・・・側にいたい、と思う気持ちは強くある。フィーの胸の中は・・・とても落ち着くね」

心臓の音がとても心地よく、安心する。

「嫌な女になるかもしれない。最後にあなたを選ばないかもしれない。それでも・・・縋りたいの。側にいて欲しいの」

「前は・・・見ているだけでも、少しでも側に入れたらそれでいいと思っていた」

わざと耳元で囁いてきた。

身体中が痺れるように、力が抜けていく。

「だが、今は違う。スティングが俺を選ぶように俺が努力する。ずっと縋っていたい、という男になる」

回された腕がより強くなり、

それ以上に、

フィーの意思が強くて、

きゅんと胸が高鳴った。

「ありが・・・とう・・・」

胸が熱くなり、涙が零れた。

私は卑怯だ。

フィーの恋心も、

カレンの友情も、

強大な帝国をも、

利用し、

たかだか小さな自国を護ろうとしている。

それでも、これが、私の本心だ。

私が、

国を変える。






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