表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めた公爵令嬢は、悪事を許しません  作者: トモブー
あなたを愛するのに疲れました
90/131

帝国へ(馬車の中)4

順調に馬車は走り、問題なく国境を越えた。

馬車に帝国紋章が彫られ、帝国旗もはためいた状態のおかげで、誰が乗っているのか確認されること無くすんなりと通してくれた。

フィーとカレンが先に通った事もあり、そしてザンの身分証を提示した事が大きく、別段不審がられることは無かった。

国境越える頃は深夜だったが、待ち合わせた貴族の屋敷には予定通り明け方に到着する事が出来た。

屋敷の周りは帝国騎士団が厳重に警備ししていた。いや、屋敷のかなり遠くから帝国騎士団が警護し、物々しく流石に目が覚めた。この馬車を見つけると直ぐさま騎士団達が側に寄り、馬車が止まるとザンが扉を開け、何か話しをしていた。

話終わるとザンが扉を閉め、座ると見計らったかのように馬車は静かに動き出した。

「皇太子、皇女とも無事屋敷でお待ちでございます」

「分かったわ」

定型文のような返事と微笑みを返し、窓を見ると、直ぐに大人数の騎士が囲み、屋敷まで先導してくれた。

この光景は、稀有だ。

帝国騎士団に護られながら進む、中心に自分がいる。

何て贅沢なんだろう。

そんな事を冷静に、他人ごとのように思う自分がいた。

窓が濡れ始め、まるで誰かの涙のように流れていく。

足元が悪くなればクルリとリューナイトの動きに支障が出てしまう。

予定通りに到着出来ないかもしれない。そうなれば、王妃派に追いつかれしまう。

もしかしたら、

と、そんな不安ばかり気持ちに、より沈めるような天候を見上げながら、ため息を必死に我慢した。

「カレンとフィーに私が来た事は伝えたの?」

「はい。早馬で公爵令嬢様の御到着を伝えに行かせました」

「そう。・・・私達は無事に着いたけれど、クルリとリューナイトも無事に合流出来たらいいわね」

つい、心の声が漏れてしまった。

「失礼ながら、最悪の事をお考え下さい。この策の時に幾度も話し合いました。公爵令嬢様が、生きねば何の意味もありません。その為に、必ず犠牲は付き物です」

ザンの冷徹な言い方に、ぐっ、と胸が張り裂けそうになる。

「そう、ね」

そんなの分かってはいる。

「もう、後戻りは出来ないわ」

そんなの分かってはいる。

でも、

「無事でいて、と思うくらいいいでしょ」

つい、声が荒くなった。

ザンは、それ以上何も言わなかった。変わらず無表情で私を見つめ、ターニャもまた、無言で微笑んでいた。

空気をよんでいる、と言った方がいい。

よく教育され、また、その資質を持っているからこそ、カレンの身の回りのメイドに選ばれたのだろう。

それも、お2人を心配する皇帝と皇后様の親心なのだ。

でも、クルリとリューナイトも私を想ってくれる気持ちは負けていないわ。

「ターニャ、きっとクルリと仲良くなれるわ。何だか、姉妹に見えそうだもの。ザン、1度リューナイトと手合わせしている所を見せて。ザンがどれくらい強いか見てみたいわ」

きっと私が無理に笑っていると分かっているだろう。

きっと私が無理矢理前向きの言葉言っていると分かってはいるだろう。

きっと、

きっと、

泣きそうになっているのもわかっていだろう。

それでも、

2人は、

楽しみにしてます、

と、言ってくれた。2人の微笑みに、零れそうな涙を必死に我慢し、

「約束よ」

不安に押し潰されそうな気持ちを必死に我慢し、

無理にでも口角を上げ微笑んだ。

大丈夫、と何度も自分に言い聞かせ、私はフィーとカレンの待つ屋敷に降り立った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ